当別町から見た石狩平野。 Photo by Hiroyuki Takeda, under CC BY-ND 2.0.

 少子高齢化、過疎化の進行が地方自治体に大きな打撃を与えている。さまざまな自治体が「地域活性化」に取り組んでいるが、成功しているエリアは決して多くない。

 そもそも、地域の“誰”が主体となって行うのか。地域活性化の取り組みは、まず人材難の壁に突き当たる。

 こういった背景の中、北海道石狩郡当別町では、町外から移り住んできた人が中心となり、高校生や市民と連携して地域活性化に取り組んでいる。

 当別町の取り組みはどんな点が他の自治体とは違うのか。また、他の自治体が当別町に学べることは何だろうか。行政学や地方自治論を専門とする國學院大學法学部の稲垣浩准教授の話を元に、「未来の地域活性化」に必要なものを考えていきたい。

國學院大學法学部の稲垣浩准教授。東京都立大学大学院社会科学研究科政治学専攻博士課程単位修得退学。北海学園大学法学部講師を経て現職。博士(政治学)。主著に『戦後地方自治と組織編成--「不確実」な制度と地方の「自己制約」』(吉田書店)など。

学校がなくなることは、地域の大きな「損失」になる

──まず北海道・当別町の状況について教えてください。

稲垣浩氏(以下、敬称略) 当別町は、札幌から電車で40分ほどの位置にある町です。札幌には近く、ベッドタウンにもなりえるのですが、基本は準農村地帯で高齢化が進んでいます。それに伴い、中心街を除く小学校は統合・廃校など整理がなされてきています。

 また、学校がなくなることは、コミュ二ティがなくなり人と人との距離が広がるなど、地域にとって大きな損失になります。そのような切迫感が、この町独自の地域活性化につながりました。