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オランダの農地の風景。(写真はイメージ)

【連載第3回】今、日本の農業は変わらなければならない。食料安保、食料自給率、農業保護などにおける農業政策の歪みにより日本農業は脆弱化し、世界での競争力を失った。本連載では、IT技術を駆使した「スマートアグリ」で 世界2位の農産物輸出国にまで成長したオランダの農業モデルと日本の農業を照合しながら、日本がオランダ農業から何を学び、どのように変えていくべきかを大前研一氏が解説します。

オランダと日本の生産性の格差

農産物輸出額10兆円のオランダ、1兆円に満たない日本

 オランダと日本の生産性を、さらに比較してみましょう(図-6)。


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 前述のとおり、オランダの国土面積は日本の九州ほど。農地面積はオランダが190万haで日本がその約2.5倍の456万haです。

 農業就業人口はオランダは20万人ほどですが、日本は約227万人もいます。オランダは農地も小さく、農業就業人口の減少に伴って農業経営体もシュリンクし、現在では7100社ほどです。日本の場合は、農業就業人口が減っても、農業経営体はなかなかシュリンクせず、いまだに160万社もあります。

 したがって、1人当たりの農地面積はオランダが日本の5.2倍、1人当たり生産額はオランダが日本の1.6倍・・・といっても、日本の金額には補助金が含まれていますので、実際にはそれ以上と考えるのが妥当です。オランダと日本の生産性は、そこまで差がついてしまっているのです。

 結果、農産物輸出額はオランダが893億ドル=約10兆円、日本は32億ドル=約4000億円と1兆円にも満たない額にとどまります。