皆様、またお会いしましたね。永遠の一兵卒、誰が呼んだか2カ月ぶりの再登場です。今回もひとつ温かい目でよろしくお願いいたします。

 さて、毎回1つのテーマを決めて3冊の本を紹介しているこのコーナーですが、今回は書籍をリレー形式で紹介してみようと思います。

 つまり、Aの書籍を紹介したら、Aの書籍の内容や、そこから連想した事柄でBを、Bから連想してCを・・・という形式で書籍を紹介していこうと思います。筆者の力不足のため、1つのテーマで3冊の書籍を用意できなかった故の窮余の一策です。

キットカットの「みぞ」の秘密

 最初に紹介する書籍は、チョコレートの世界史─近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』(武田尚子著、中央公論新社)です。子どもにも大人にも人気のお菓子・チョコレート。本書はチョコレートの歩んできた歴史を知ることのできる1冊です。

『チョコレートの世界史』武田尚子著、中央公論新社、税780円

 本書では南米原産のカカオが、まず「ココア」としてヨーロッパにどのように広がっていったのか。そこからどのような過程を経てチョコレートが誕生したのか。とりわけイギリスでどのようにココアやチョコレートが生産されていたのかを解説しています。

 特に興味深かったのが、日本でもよく知られたウエハース入りのチョコレート菓子、「キットカット」に関する話です。キットカットを開発したのはイギリスのロウントリー社。現在は買収され、ネスレ社がライセンスを持っています(アメリカでは、ハーシー社が所有)。

 キットカットの開発の苦労や、特徴の1つである「みぞ」のエピソード、第2次世界大戦中は青いラッピングペーパーだったことなどが取り上げられていています。読了後には、きっとキットカットが食べたくなること間違いなしの1冊です。本書はたっぷりチョコレートをご準備の上で、チョコレートと一緒にご賞味することをお勧めします。

『チョコレートの世界史』では、イギリスを代表するチョコレートメーカーに成長した、フライ家、キャドバリー家そしてロウントリー家の3家は、いずれもクエーカー教徒であると述べられていました。