古来、日本民族はたびたび来襲する巨大地震・台風・豪雪・大洪水などの自然災害に苦しめられてきた。
列島はユーラシア大陸と太平洋が接する境界に位置し、かつ世界有数の火山帯の上に存在する島国である特殊性から、各種自然災害大国と言え、我々はその脅威から逃げることはできない。
これら多くの自然災害のうち、被害が特に甚大な津波について考えてみたいと思う。
東日本大震災の半年前、私はバス旅行で田老地区を通過して巨大な堤防を見た。「これはチリ地震による津波で大きな被害を受けて構築された世界でも最大級の高さがあり、町を必ず守ってくれる」との説明を受けた。
しかし、今回の巨大津波で破壊されてしまった。その時私は「これほど巨大で無味乾燥な長城を構築して生業である海の仕事ができるのだろうか?」という疑問を抱いた。
津波はなぜ起こるのか
津波は、多くの文献に記載されているように、地震の発生が海底の地核を変形させて広域の海水面を突き上げ、巨大な波紋となって海岸線に到達するまで円形に拡散していく。
しかし、その波紋は発生直後から津波特有の進行方向に非線形に切り立った海水の前面壁を形成しているのではなく、最初は巨大な正弦波となって拡がっていく(海上保安庁の巡視船の動画)。
そして、波動が海岸線に接近するにつれて、頭を持ち上げ次第に巨大な壁状の津波に成長していく。さらに津波到来前には必ず大きな引き潮が観測される。
それらのことから、私は常々この壁状になって海岸付近に迫ってくる津波の断面形状が電子工学で習ったステップ関数と類似しているように思っている。
すなわち直流電圧を負荷零(v)状態の回路にスイッチを入れてV(v)にすると発生する階段状の波形である。