起業をするということは、自分の時間を生きるということだと思います。
仕事の時間は人生の大部分を占めており、その時間を他人のために使うのか、自分のために使うのかで、人生の意味は大きく変わると考えます。きちんと努力を積み重ねていれば時間とともに成果は積み上がるものですが、「それが誰のものなのか」は、大問題だと私は考えます。
サラリーマンは、人のために働く
私は15年間サラリーマンをやっていたのですが、辛かったことの一つとして、「今働いているこの時間は、自分のための時間ではない」と感じたということがあります。お金と引き換えに、大切な自分の時間を他人に売り渡していると。仕事の成果は会社のものであり、自分が得られるものは給料だけでしかない、と。
100億円、200億円を動かすプロジェクトを担当し、名だたる大企業を相手に交渉し、身を削って契約を成し遂げて大きな利益を会社にもたらしても、自分が得られるのは決まった額の給料だけです。金額の問題ではなく、自分の成果は全て会社に帰属するような、思い切って言ってしまうと「吸い取られる」ような感覚がありました。
全面的に会社の資源を使って仕事をしているのですから、成果が会社に属するのは当たり前のことです。もちろん個人としても、スキルや経験、もしくは人との出会いなど、お金以外の無形のものを多く受け取ることもできていたことでしょう。ただ、それでも「成果が自分のために積み上がっていかない」ということを、苦痛に感じていたのです。