ロシア財務相、「メドベージェフ氏が首相就任なら辞任」

ロシアのアレクセイ・クドリン元財務相(2010年9月20日撮影)〔AFPBB News

 2011年9月、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領との感情的な対立を機に政権を去ったアレクセイ・クドリン氏が公式にウラジーミル・プーチン政権に帰ってきた。

 同氏は、4月末、2000年にプーチン大統領の政策を策定したことで知られる戦略策定センターの代表になった。またその直後、プーチン大統領を経済政策の面から支える大統領経済諮問会議の次席となった(議長はプーチン氏)。

 クドリン氏はこれらの立場を生かして、2030年までの経済政策を立案する責任者として指名されたのである。

 今回は現時点でのクドリン氏の復帰がプーチン政権の経済政策の進路変更を意味することにつながるかどうかについて考えてみたい。

 まずクドリン氏とはどんな人物なのか。

プーチン大統領の「先輩」

 クドリン氏はプーチン大統領とはサンクト・ペテルブルクの市庁舎で働いた同僚だった。細かい話だがプーチン氏の市庁舎入り前にクドリン氏は働いており、その意味でクドリン氏はプーチン大統領の先輩である。

 またサンクト・ペテルブルクの市庁舎を辞めたプーチン氏がモスクワへ行く際にも、一足先にクドリン氏がモスクワに出ており、この点でもプーチン大統領の先輩だった。

 こうしたことから、ロシア語で「Вы(ヴィ:二人称複数、敬意を示すときに使われる呼称)」ではなく「Ты(ティ:二人称単数、気のおけない仲間を呼ぶときの呼称)」と呼び合う中であり、プーチン大統領も一目置かざるを得ない仲間だ。

 先述したメドベージェフ前大統領との感情的な行き違いも、事実上プーチン氏の手下である同大統領に偉そうに指示されることに耐え切れなかったことが要因の1つと言われている(その他に軍事費膨張など財政路線を巡る対立もあったとされる)。

 いずれにせよ、クドリン氏のプーチン大統領との対等な関係が、誤った経済政策を諫める役割を果たしてくれるのではないかと期待されている。