韓国で持ち上がった日産自動車製のディーゼル車に対する排ガス「不正」問題は、日産が全面反論して真相はわからないままだ。
韓国内では、日産叩きは見られず、むしろ、ディーゼル車の急速な普及が大気汚染の原因になっていることや加湿器殺菌剤の事故などをを受けて環境行政に対する疑問の声が強まっている。
韓国の環境部は2016年5月16日、ディーゼルエンジンを搭載した日産自動車の多目的スポーツ車(SUV)「キャシュカイ」で排ガス不正があったと発表した。
「日産のディーゼル車 排出ガス操作した」
VWに次いで世界2番目のディーゼル排ガス不正?
環境部の会見の翌日、大手紙の「朝鮮日報」は1面トップでニュースを報じた。「キャッシュカイ 韓国で初めて確認・・・VWについで世界で2番目」などの見出しもつけた。テレビや新聞も大々的に報じた。
発表によると、排出ガス低減装置に不正が見付かった。窒素酸化物(NOx)の排出量を減らす装置が、エンジンが一定の温度を超えると停止するようになっており、これが「故意の不正措置」だとして、課徴金のほか、全車リコール、さらに韓国法人の代表を刑事告発する方針だと発表した。
2015年に発覚して世界中で大騒ぎになったVW事件以来の「ディーゼル車排ガス不正」なら、大変なニュースだ。16日の発表をメディアで聞かされた消費者は、「日産はとんでもないことをした」という印象を持ったはずだ。
日産は全面否定
ところが、日産が17日に「韓国環境部の主張は誤りだ」と全面的に反論するコメントを出す。
そもそも環境基準には、エンジンなどを破損する恐れがある場合などには一定温度を超えて装置の作動を停止させてもいいという例外規定があるとの立場だ。
同じような基準がある欧州では「キャッシュカイ」は規制に適合している。この点を説明してもいた。韓国環境部の判断が誤りだという内容だった。
この前後から、一部韓国メディアも急旋回する。