今年(2016年)は水俣病の「公式確認」から60年の節目だ。ゴールデンウィーク中の5月3~5日には東京大学の安田講堂で「水俣病公式確認60年記念 特別講演会」が開催され、多くの聴講者が集まった。講演会を主催したのは、水俣病の悲劇を風化させまいとする「水俣フォーラム」というNPO法人だ。
PM2.5に汚染された空、カドミウムに汚染された土壌・・・、中国もかつての日本と同じ公害問題を抱えている。
日本で公害問題を突き動かしたのは、被害者の抗議運動であり、専門家による分析であり、ジャーナリズムだった。水俣フォーラムのような市民団体も活発に活動している。
では、中国ではどうだろうか。
残念ながら、思想弾圧や言論統制の厳しい中国で市民団体が公害反対運動などを展開するのは極めて難しい。公害反対運動どころか、民間の自発的な活動自体が政府の監視下に置かれているのが実態だ。
半官組織が担う中国の環境活動
中国で環境活動を展開する市民団体には海外のNGOや中国人によるボランティア組織などがあるが、活動の歴史はまだ浅い。「中国でNGOという言葉が広がったのは1992年の地球サミットから」(中国の環境問題の専門家)とも言われ、1990年代は海外のNGOが先行して活動を展開していた。中国人による活動が見られるようになるのは2000年代に入ってからのことだ。