100ルーブル紙幣は「ポルノ的」、ロシア議員が図柄変更を要請

モスクワのボリショイ劇場の屋根に置かれているアポロ(Apollo)像。ロシアの100ルーブル札にこの像が描かれている〔AFPBB News

 4月12~13日、モスクワ取引所とクレディ・スイスの共催で「Moscow Exchange Forum 2016」が開催された。

 2008年夏のリーマンショック以前は在モスクワの投資銀行が競って大規模な投資フォーラムを開催したものである。ゲストもビル・クリントン米元大統領、トニー・ブレア英元首相が登壇したり、アラン・グリーンスパンFRB元議長がビデオカンファレンスで3Dホログラフィーで登場したこともあった。

 しかし近年、特に2014年2月のクリミア紛争以降はこうした投資フォーラムはすっかり影を潜めていた。

 今回のフォーラムは久しぶりの会合とあって、参加者は1500人を超えていたようだ。会場となったリッツカールトンホテルの会場はもちろん、ロビーまで人があふれ返っていた。ただ同時通訳のレシーバーの貸出し状況から察するに、海外からの参加者は以前に比べるとかなり少ないように感じた。

ロシア経済、景気回復への見通し

 今回のフォーラムの主パネルは「ロシア経済、成長回帰への見通し」と題され、以下に挙げるような実務型の重鎮が顔を揃えた。

 モデレーターは最近、大領領経済諮問委員会の副委員長への就任が決まったアレクセイ・クドリン元財務大臣。パネリストは、アルカジー・ドボルコビッチ副首相、エリヴィラ・ナビウリナ中銀総裁、アントン・シルアノフ財務大臣、エネルギー大臣のアレクサンドル・ノバク氏、アベン・アルファバンク取締役(オーナー)。

 冒頭発言を求められたドボルコビッチ副首相は「今年の景気回復を妨げる障害は何もない」「西側諸国の経済制裁が年内にも解除されると楽観視してはならない」「景気回復はロシア国民の働き次第である。足許の原油価格回復、機械・自動車セクターは回復基調にあり、ルーブル安による輸出増加も期待できる」など、景気の先行きに対して強気の見方を披露した。

「Moscow Exchange Forum 2016」メインパネルの模様。国内メディアの注目は高く多くの記者が集まったが、在モスクワの日系メディアの関心は低く姿を見ることはない

 これは市中金融機関のエコノミストはもちろん、ロシア政府(経済発展省)の経済見通し(2016年 ▲0.7%)と比較しても極めて楽観的と言えよう。

 またノバク・エネルギー大臣は原油価格の先行き見通しに関して、2016年上半期の平均価格は1バレル40ドルだが、下半期は50ドルに回復、2017~18年には60~65ドルまで上昇すると述べた。ドボルコビッチ副首相の強気シナリオをまさに裏書きするような見通しである。

 しかし、すべての政府関係者が景気に強気の見方を示したわけではない。ロシア中銀は世界中の中央銀行が金融緩和に躍起になっている中にあって、今や世界でも唯一と言える「インフレファイター」である。