米国の市場調査会社、ガートナーがこのほどまとめたパソコン市場に関するリポート(速報値)によると、今年1~3月期における世界出荷台数は6480万台となり、1年前から9.6%減少した。
前年割れは6四半期連続で、パソコンの四半期出荷台数は2006年以来、10年ぶりに6500万台を下回ったという。
すべての主要市場で前年割れ
パソコン市場の落ち込みの主な要因はドル高だが、10~12月期から積み上がった在庫の影響もあったと、ガートナーの主席アナリスト、北川美佳子氏は指摘している。
同氏によると1~3月期はすべての主要市場で出荷台数が減少したが、中南米は前年同期比32.4%減と、最も落ち込みが激しかった。とりわけ経済と政治不安の問題を抱えるブラジルが中南米市場に及ぼしたマイナスの影響は大きいという。
さらに、石油価格の下落が、中南米の国やロシアなどの産油国の経済を縮小させている。こうした国々はこれまでパソコン市場成長の牽引役だったが、今は成長を阻害する存在へと変化してきたと、北川氏は述べている。
このほかの地域を見ると、米国の出荷台数は1310万台で、1年前から6.6%減少した。ガートナーによるとこの出荷台数は過去3年で最も低い水準。
米国ではタブレット端末としても使える1台2役型(2-in-1型)製品の販売が伸びたものの、デスクトップ機や従来型ノートパソコンの落ち込みを補うことはできなかった。同国ではパソコンの利用台数が依然減少を続けており、これは先進国市場全般に見られる傾向という。
アジア太平洋地域の出荷台数は、1年前から5.1%減の2330万台となった。減速が続いている中国経済と、地域全体の需要低迷が引き続き消費者心理を低下させているとガートナーは指摘している。