1月30日、リオデジャネイロ五輪最終予選を兼ね、ドーハで行われたサッカー男子U-23アジア選手権決勝。日本は韓国に逆転勝利を収め優勝、前回の雪辱を果たした。アジアの頂点に立ち、リオでの活躍に期待が高まる。
そんなリオでは、2月4日から、恒例のカーニバルが始まる。
もともと、カーニバルとは「肉よ、さらば」を意味する言葉。節制することになるキリスト教の「四旬節」に先立ち、思う存分肉を食べる、という宗教的意味合いがある。
しかし、我々非キリスト教圏の者には、派手なお祭り、リオのカーニバルは、エスコーラ・ヂ・サンバと呼ばれる地域集団の音楽ダンスコンテスト、とのイメージも強い。
カーニバルを世に知らしめた映画
今や誰もが知るこのカーニバルの様子を広く世界に知らしめたのが、アカデミー賞外国語映画賞受賞作『黒いオルフェ』(1959)だった。
ギリシャ神話をベースとした文学センスに富んだ映画を彩るアントニオ・カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファのボサノヴァも時代を彩る名曲だった。
主人公オルフェは、今では、リオに600以上あり、人口の2割ほどが暮らすというスラム街「ファヴェーラ」の住人。
その描写は、同じ原作の映画化『オルフェ』(1999)では、文学的な『黒いオルフェ』とは異なり、時代が違うとはいえ、暴力と麻薬に満ち、よりリアルとなる。
警察と麻薬組織との銃撃戦が当たり前のようにあり、一般市民が巻き添えになることもしばしば。しかし、抜け出しても、まともな生活はできない、と登場人物は語る。
そこには、ファヴェーラへの偏見、人種差別、格差社会という根深い問題があるのだ。