コンピューター大手の米ヒューレット・パッカード(HP)が9月13日、新たな企業買収を発表した。今度は米カリフォルニア州クパチーノに本拠を置くセキュリティーソフトのアークサイトという企業で、買収総額は15億ドルになる。
企業向けセキュリティーサービス拡充へ
株式公開買い付け(TOB)を実施し、アークサイトの発行済み普通株すべてを取得するとしている。買収額は1株当たり43.50ドルで、これは前週末の同社株終値に24%のプレミアムを上乗せした金額になる。
13日のアークサイト株は前日比25.1%高の43.91ドルの終値で通常取引を終えた。一部の投資家が米デルとHPが繰り広げた米スリーパー(3PAR)買収合戦と同様に、買収額の引き上げを望んでいるようだと米欧のメディアが報じている。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、アークサイトは身売りを検討しており、これまで複数の大手ハイテク企業と交渉を続けてきたが、このほどHPとの話がまとまった。
HPはネットワークからアプリケーションやサービスなどを提供するクラウドコンピューティング分野の成長に期待しており、総合的なITサービスを行ううえで不可欠となる技術や製品を自社内に取り込む戦略を打ち出している。
例えばマーク・ハード前最高経営責任者(CEO)の辞任後も、セキュリティーソフトの米フォーティファイ・ソフトウェアや、クラウド環境用データベースソフトの米ストラタビアの買収を発表しており、この9月にはスリーパーの買収を決めたばかり。
「今後も買収を続ける」とHP幹部
HPのソフトウエア&ソリューション担当上級副社長のビル・ベクティー氏は、「当社にはとても明確で優れたM&A(買収と合併)戦略があり、これはハード前CEOの退任後も変わらない。今後も戦略的、財務的に意味があると考えれば買収を続ける」と話している。
主力分野以外への投資を積極的に行い、ソフトウエア、ネットワーク、ストレージ、サービスと、パソコンやサーバーシステムよりも高い利益率が見込める市場へと進出する動きは、ハード前CEOの時代から始まった。
ただ、その一方でアナリストらは今、同社の拡張戦略に懸念を示しているという。HPがハード氏辞任後に割高の買収を続けているからだ。