パソコン大手の米デルと米ヒューレット・パッカード(HP)による記憶装置(ストレージ)メーカー米スリーパーを巡る買収合戦は、9月2日にデルが買収を断念すると発表して終結した。

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デルは買収を断念〔AFPBB News

 デルは1日にHPの先の提示額である1株30ドルを上回る32ドルを提示していたが、同時に提案した業務提携に関する条件がスリーパーに受け入れられなかった。そうした中、HPが提示額を33ドルに積み増しした。

 HPによる1株33ドルという提案が行われたのは、スリーパーがデルの条件を拒絶したことを公表する前のわずか90分前。つまりHPは不必要に割高な金額を提示してしまったことになると、米ブルームバーグ・ビジネスウィークなどのメディアが伝えている。

 これはどういうことかと言うと、デルは既に断念することを決めていたため、HPはただ黙って待っていさえすれば、1株30ドルでスリーパーを買収できていたからだ。

ライバルのあらゆる動きを阻止するHP

 今回の買収劇、各メディアの記事を見ていると、双方が連日連夜、想像を絶する戦いを繰り広げていたことが分かる。少し経緯を振り返ってみる。

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HPはライバルのあらゆる動きに対して、阻止するという戦略を立てた〔AFPBB News

 HPがスリーパーに買収話を持ちかけたのは7月8日。

 翌週にHPの前CEOであるマーク・ハード氏とスリパーのデビッド・スコットCEOが協議をした後、投資銀行の助言で、スリーパーが業務提携で協議していたデルと、米オラクル、スリーパーと同業の米ネットアップを加えて、競売形式で提示額を出してもらうことになった。

 この後にオラクルとネットアップは去り、HPとデルだけが残った。

 デルは当初、15~17ドルという金額を出しており、米ウォールストリート・ジャーナルの記事によるとHPは「10ドル台半ば」を出していた。しかしデルはまもなくして1株18ドルを提示、スリーパー側はHPにも積み増しの意向を尋ねたが、HPは応じなかった。

 8月16日、デルが1株18ドルの買収合意を正式発表。通常であればこれで話は終わるはずだったとウォールストリート・ジャーナルの記事は伝えている。