債務問題はもうたくさん!ギリシャ国民はさばさば

ギリシャ・アテネの中心街で、「ユーロの死」と題された壁画アートの前を通り過ぎる女性(2015年6月19日撮影)〔AFPBB News

 勝負には勝ちと負けがある。勝った者の背後には必ず負けた者がいる。勝った者は喜びと自信を得る。負けた者はプライドが傷つき、自信を失う。

 人が集まるリーダーはこの道理を知っている。勝つことの恐ろしさと負けることの大切さを知っている。

 同い年の赤ちゃん同士がおもちゃの取り合いをしていた。ひとしきり喧嘩した後、一方の赤ちゃんが「いいよ。あげる」とおもちゃを差し出した。

 その姿を見た周囲の大人たちは、「えらいねぇ!」とその赤ちゃんを満面の笑みで褒めた。おもちゃを差し出した赤ちゃんは、おもちゃを受け取った赤ちゃんから「ありがとう」と感謝され、そして周囲の大人たちの心を掴んだ。

 今は目の前のおもちゃが欲しかったかもしれない。しかし、相手を思いやり、あえて勝負に負けることができた赤ちゃんは、のちにおもちゃと引き換えに手に入れたものの大きさを知ることになる。

大人にも当てはまる「おもちゃの心理」

 大人の世界でも同様の構図が繰り広げられている。

 大人の世界でおもちゃに該当するものは様々であるが、その代表的なものとして「自分の気持ちや考えを認めてもらうこと」がある。

 人は「自分の気持ちや考えを分かってもらいたい」という欲求を抱いている。そして、コミュニケーションの中でこういった欲求を満たそうとする。

 例えば2人で会話をする場合、双方ともに「自分の気持ちや考えを分かってもらいたい」という欲求を抱いている。会話をしていて相手が自分の気持ちや考えを一切分かろうとしてくれなかったら、その会話はとても後味の悪いものとなり、またその相手と会話しようとは思わなくなるだろう。

 コミュニケーションをする際には互いに「自分の気持ちや考えを認めてもらうこと」を手に入れようと、大小無数の勝負を繰り広げている。