近年の日本企業のグローバル化に伴う最大の課題として挙げられるのが、海外子会社の経営管理である。今回は、筆者のこれまでの経験を基に、日本企業の経営管理には何が欠如しているのか、何を重点的に行うべきなのかをまとめてみたい。
グローバル経営における経営管理とは
まず、経営管理とは何を指すのか。経営管理とは一般的に、企業の目的の達成と企業活動の円滑化のために、ヒト・モノ・カネ・情報の4つの経営資源の調達、効率的配分、組み合わせを行う管理活動とされている。この場合の企業の目的については、各種学説、企業ごとに種々あるが、一般的には売上・利益の最大化、顧客を創造すること、事業を通じて社会に貢献すること、永続すること、全社員の物心両面の幸福を追求すること、等が挙げられる。
当然ながらグローバル経営における経営管理も同様の管理活動となる。特にグローバル経営管理においては、海外子会社管理を含めたガバナンス戦略の構築、政治・社会情勢の流動化に伴うリスクの多様化に対応するリスクマネジメント体制の整備、米国連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)、英国贈収賄防止法(UKBA)に代表されるコンプライアンス問題の多様化への対策が重要である。いずれも、グローバルでビジネスを展開する企業にとって、喫緊の課題となっている。
現地化は避けては通れない
企業活動のグローバル化に伴い、現地化は避けては通れない道と言ってよい。特に、下記のような観点から現地化は不可欠であると言える。