マイナンバー制度の施行期日が2015年10月5日と間近に迫っている。2016年1月1日に行政事務でのマイナンバー利用開始を前に、制度対応のための取り組みが企業にも広がっているが、中小企業ほど対策が遅れていることが東日本電信電話株式会社(NTT東日本)の調査で明らかになった。

 調査によると、社員数が少ない企業ほど準備をしている率が低くなり、社員20人未満の企業においては約8割が「何も進めていない」と回答したほか、いつごろまでに準備を完了するべきだと思うかに関しても「わからない」という回答が約2割見られたという。

NTT東日本 マイナンバーに関する企業の意識・実態調査より

導入にあたって企業が準備すべきこと

 中小企業向けITコンサルティング専門企業ブリッジ・リサーチ&コンサルティング合同会社代表の阿部満氏は、「そもそも、マイナンバー制度は行政側にとってメリットの大きいものですが、とくに中小企業にとっては導入の負担が大きい」と指摘する。

 取扱規程に関して、企業はマイナンバー・特定個人情報の(1)取得、(2)利用、(3)保存、(4)提供、(5)削除・廃棄の各段階での取り扱い方法、責任者・事務取扱担当者、任務などをそれぞれ定める必要がある。

「マイナンバー制度の導入にあたっては、企業はまず、マイナンバーを取り扱うために、社内の規定をつくる必要があります。さらに、管理システムの開発、個人情報管理のセキュリティ管理措置、従業員教育の4つが注意すべきポイントとなります」(阿部氏、以下同)

 組織だった大企業であれば、こうした対策にそれぞれ担当をつけて対応することができるが、中小企業の場合は、そういった人材が社内におらず、経営者自身が対応するケースが多いという。こうしたことが「負担」となって、マイナンバー制度の導入を積極的に進めようという中小企業が少ないのではないかと阿部氏は見ている。