4月12日のヒラリー・クリントンの大統領選挙への出馬表明で、アメリカの政界がにわかに熱を帯びてきた。
このコラムを執筆した5月15日の時点では、民主党ではクリントンを含む7名の候補が正式に出馬を表明している。一方、共和党は15人がが並び立ち、出馬を考慮中の候補がさらに10人ほど残っている。この時点で既に民主党と共和党の内部の調和の差が明らかになりつつある。
私が教鞭を取るアメリカ空軍では、誰が大統領になり、どのような政策を打ち出し、それが米軍にどう反映されるのかは、きわめて重要な問題である。大統領は軍隊における最高司令官であるからだ。外交に及ぼす大統領の権限は多大なるものがあり、特に「9.11」後は議会が安保政策の権限を行政府に譲る傾向が強まった。
誰がアメリカの大統領になるのかは世界各国にとっても重要な問題である。日本も例外ではなく、集団的自衛権やTPP交渉などに影響を与える大きな人事である。
今回の選挙で焦点になりそうな議題はいくつかある。アメリカ国外を見れば、ウクライナ情勢、イスラム国やアルカイダとの戦い、イエメン情勢、中国との関係などがある。日本は必然的にTPPや日米同盟などに注目するだろう。しかし選挙のカギとなるのは、基本的にどこの国でも内政である。従ってオバマケアを巡る健康保険や社会保障、移民、ファーガソンやボルチモアなどで最近見られた人種差別問題、そして雇用などが焦点になるのは間違いない。