同声明は日本の戦後70年の平和的な実績を賞賛しながらも、第2次大戦での「過ち」について「全体的に偏見なく清算する」ことを求めていた。慰安婦問題などでは「安倍首相の大胆な行動」を要求するというが、それ以上に具体的な求めは明示していない。

 だが、実際にはこの声明は、日本政府に対しても日本国民に対しても、過去への心の持ち方を指示し説教するような口調に満ちていた。外国の学者や研究者が、他の主権国家の政府や国民に精神や心の持ち方についてあれこれ要求し、指示するというのは、考えてみれば傲慢そのものである。「あなた方になぜそんな資格があるのか」と問いたくもなる。日本人の学者たちが連名で米国のオバマ大統領に「過去の直視」の仕方を説く書簡を出すことを考えてみれば、その専横さが分かるだろう。

 声明は、慰安婦問題で長年日本を叩き続けてきたコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となって作成し、ハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授やイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロナルド・ドア元教授という長老格や新進の日本研究の学者や専門家が名を連ねて署名していた。大多数は米国の学者たちだが、オーストラリアの研究者なども含まれていた。

 同声明は日本政府への要求として以下のようなことを書いていた。

「今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です。四月のアメリカ議会演説において、安倍首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。私たちはこうした気持ちを賞賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません。」(原文のまま)

 要するに日本の首相への指図なのである。日本の首相は日本国民の多数派により民主的に選ばれているから、この指図は日本国民への高圧的な説教だとも言える。日本をまるで彼らの精神的な植民地のように扱っているかにも見えてくる。占領軍のGHQ的な思想警察現代版でも気取っているのだろうか。