フリードリヒ・ハーゼノールという物理学者をご存知でしょうか?
たぶん全く知られていないと思います。今年は彼が40歳で亡くなって100年目ですが、教え子たちが彼を語る口調は、生前のハーゼノールの講義やゼミ同様、独特の熱を持っていたと耳にします。
物理学者のエルヴィン・シュレーディンガーは最晩年に至るまで、恩師ハーゼノールの思想を語り続けました。
ハーゼノールはアインシュタインに先立ってE=mc2という式を導いたことで知る人には知られていますが、彼にしてもシュレーディンガーにしても、本質的な仕事の背景に「架橋」つまり異なる分野の組み合わせという特徴があります。
そういう観点から「発想と組み合わせ」について、少し考え手みたいと思います。
「発想」を考える
仕事で企画のアイデアが出ない、と悩む人がいます。まあ、時間をかけて悩むべき時期も必要かと思いますが 、いかんせん「仕事」ですから、石の上に3年待たせてもらえればいいけれど、通常はさくさくと仕事を進めて行かねばなりません。
が、不慣れなことになると、どうしても手が止まってしまう。アイデアなどポンポン出てくるわけではないし、どうしよう、困ったなと思っている間に夜が明け朝になり、1週間はまたたくま。あっという間に納期が近づき、最後は苦し紛れで酷い代物・・・。
そういうことが、例えば学校では少なくありません。
芸術大学を例に考えてみましょう。油絵を描くでもいい、オーケストラ曲を書くでもいい、ちょっとした規模の仕事をするには本当は時間がかかります。でもそれは、すでに十分手に職がついた大人が何か月、何年という時間をかけて仕上げるもの。学生の場合は逆がいいと私は思っています。
例えばオーケストラの譜面を書くなら、1週間とは言いません。1時間あげるから、いますぐここで書いてごらん、というのが一番いい。力もすぐ分かります。