本記事は3月6日付フィスコ企業調査レポート(神戸物産)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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「業務スーパー」を展開、外食や海外事業にも注力

 神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで製販一体の6次産業企業として国内トップ。食材販売の「業務スーパー」をFC展開するほか、外食事業、再生エネルギー事業へと展開。M&Aにも積極的で2013年には外食事業を主に展開するジー・コミュニケーショングループをグループ会社化している。

 2014年10月期の連結業績は売上高が前期比19.2%増の214,028百万円、営業利益が同164.7%増の5,178百万円と過去最高業績を2期ぶりに更新した。消費増税後の消費者の節約ニーズの高まりに対応した販売施策をタイムリーに実行したこと、また、店舗の売り場づくりを見直した効果などで、主力の業務スーパー事業の業績が2ケタ増収増益と好調に推移したのが主因だ。さらに、前下期から加わったクックイノベンチャー事業(ジー・コミュニケーショングループの事業)が、フルに寄与したことも収益の上乗せ要因となった。

 2015年10月期の業績は売上高が前期比4.2%増の223,000百万円、営業利益が同17.8%増の6,100百万円と増収増益を見込む。業務スーパー事業が引き続きけん引役となる。為替変動がリスク要因となるものの、2014年11月の月次売上高も順調に推移しており、会社計画は保守的な印象が強い。

 同社は2017年10月期に連結売上高300,000百万円、経常利益15,000百万円を目標として掲げている。国内での業務スーパー事業の成長に加えて、再生エネルギー事業が新たな収益柱として育つ見通し。メガソーラー発電はすでに約15MW(メガワット)が稼働中で、355MW分の認可を経済産業省から取得済。地熱発電や木質バイオマス発電も計画している。また、中長期的には海外事業も主力事業の1つとして育成していく考えで、2014年10月に米国に和食レストランを開店したのを機に、今後は外食事業、業務スーパー事業の海外展開を積極推進していく戦略だ。

 株主還元策として、配当金の増配を実施している。2015年10月期は株式分割(1:2)を2月に実施し、1株当たり配当金は50円と前期比で実質20円の増配を予定している。また、2014年12月26日までに308,300株の自己株式の買い付けを行い、株式分割後に50万株の自己株消却を実施した。

Check Point

●製販一体となる小売りモデルのFC展開で急成長
●創業来の連続増収、営業利益・経常利益は2期ぶり最高益を更新
●売上高3,000億、経常利益150億を目標に中期的成長を図る

会社概要

製販一体となる小売りモデルのFC展開で急成長

(1)会社沿革

 同社の創業は1981年、兵庫県加古川市で食品スーパー「フレッシュ石守」を開店したところから始まる。当時3店舗まで拡大したが、その後は大手スーパーとの競争のなかで苦戦が続いていた。1991年に株式会社化し、1992年には中国・大連市にワサビやショウガなどの加工食品を製造する大連福来休食品有限公司を設立、同社にとって初めて製造業に進出する。当時、ウォールマートやマクドナルドなど世界的な企業と取引するなかで、大量調達による圧倒的なコスト競争力を武器に成長する様をみて、製販一体となる小売りのビジネスモデルを発案。2000年3月に「業務スーパー」FC1号店を兵庫県三木市に開店したのを機に、同社の快進撃が始まる。2002年には年間で100店舗以上の大量出店を行い、その後も順調にFC店舗数を増やし、2014年10月時点では685店舗まで拡大している。

 また、同社は製販一体のビジネスモデルを更に強化すべく、2008年には、タマゴ加工品メーカーの(株)オースターエッグや冷凍食品メーカーの(株)ターメルトフーズをグループ会社化するなどM&A戦略も積極的に取り入れるようになる。また、同様に2008年にはじゃがいもや大豆などを生産する農業生産法人(株)神戸物産エコグリーン北海道を設立、1次産業にも進出した。

 その他、外食事業にも2006年より進出している。世界各国の料理をビュッフェ形式で提供する「神戸クックワールドビュッフェ」FC1号店を兵庫県加古川市に開店したのが始まりで、その後も新業態の外食事業に挑戦している。また、2013年4月には外食事業を主に展開する(株)ジー・コミュニケーショングループをグループ会社化し、外食事業における一段の業容拡大を図っている。