本記事は3月4日付フィスコ企業調査レポート(ソルクシーズ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。

金融業界向け開発、自動車組込み系が好調で増収増益に

 ソルクシーズ<4284>はソフトウェア開発事業とデジタルサイネージ事業を展開する。ソフトウェア開発では金融業界向けの割合が高く、単独売上高の6割強を占める。既存事業の強化に加えて、収益の安定性を高めるため、ストック型ビジネスの展開に注力しており、中期的にストック型ビジネスの利益構成比を50%まで引き上げていくことを目標としている。

 2014年12月期の連結業績は、売上高が前期比8.8%増の10,507百万円、営業利益が同51.1%増の541百万円と2ケタ増収増益となった。金融業界向けを中心にソフトウェア開発需要が好調に推移したほか、子会社で展開する自動車業界向けの組込み系コンサルティング業務も大手自動車メーカーからの高い評価を受け、増収増益に貢献した。

 2015年12月期も旺盛な需要を背景にソフトウェア開発事業がけん引し、売上高は前期比9.5%増の11,500百万円、営業利益は同12.8%増の610百万円と増収増益が続く見通し。ただ、営業外で前期に計上したデリバティブ評価益155百万円がなくなるため、経常利益は同10.0%減の600百万円と減益を見込む。

 中期成長戦略の主要テーマであるストック型ビジネスの育成に関しては、今期より大きく事業展開が進む可能性がある。センサーによる見守りシステム「いまイルモ」は、現在交渉中の大手企業との提携が決まれば、販売ネットワークが一気に拡大することになる。また、今期より中国での販売も視野に入れ、準備を開始する予定だ。学習塾向けeラーニングシステムでは、大手学習塾グループの一部で採用が見込まれるほか、個人向け直販も検討する。また、法人向けクラウドサービス「CSO」の海外展開も予定しており、これらの事業展開が進めば、業績面でもプラスに寄与するものと思われる。

 新たに発表した中期3ヶ年計画では、2017年12月期に連結売上高13,000百万円、経常利益1,000百万円を目標として掲げた。SI事業の競争力強化、ストック型ビジネスの拡大、及び中国を中心とした海外市場の開拓を進めていくことで達成を目指す。また、東証第2部市場への上場も中期計画中に実施したい考えだ。

Check Point

●15/12期は本業ベース増収で2ケタ増益と好調を継続
●中期計画を見直し実施、16/12期以降も2ケタ増益を目指
●中計の主要テーマであるストック型ビジネスが進展の可能性

事業概要

ソフトウェア開発事業が主力

 同社の事業セグメントはソフトウェア開発事業とデジタルサイネージ事業に区分されており、2014年12月期における売上高構成比ではソフトウェア開発事業が約95%を占め、主力事業となっている。

 ソフトウェア開発事業は、同社のほか子会社8社で構成され、それぞれ専門分野に特化した事業展開を行っている。単独ベースで見た業種別売上高構成比(2014年12月期)では、金融業界向けが63.2%と高いのが特徴で、なかでもクレジット向けが28.4%と高くなっている。また、業種別粗利率でも金融業界向けが相対的に高く、同社の収益は金融業界のIT投資動向に影響を受けやすい構造になっていると言える。金融業界向けの粗利率が高くなっているのは、最終顧客からの直接受注の比率が高いことが要因の1つになっている。同社の単独売上のうち直接顧客売上の比率は27.8%を占めている。また、間接顧客としては富士通<6702>系や日立<6510>系の開発会社の比率が高く、それぞれ単独売上の21.3%、20.8%を占めている。

 一方、デジタルサイネージ事業は国内と中国の子会社2社で展開している。年間の売上高はここ数年、数億円レベルで推移しているが、損益的には若干の赤字が続いている。