本記事は1月19日付フィスコ企業 調査レポート(ヘリオス テクノ ホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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業績は順調に回復、4事業の足並みが揃いつつある状況

 ヘリオス テクノ ホールディング<6927>は、旧フェニックス電機(株)が経営統合や事業譲受を経て2009年に誕生した持株会社だ。フェニックス電機の時代はランプ事業の一本足経営だったが、現在では「製造装置事業」、「検査装置事業」及び「人材派遣事業」を新たに取り込み、4事業体制となっている。現在の収益の中心はランプ事業と製造装置事業であるが、将来の成長性は製造装置、検査装置、人材派遣のポテンシャルが高いとみられる。ランプ事業も製造装置や検査装置とのシナジーを追及することで、成長が期待されている。

 製造装置事業は、高シェアを握っている配向膜印刷装置が、テレビ及びスマホ用液晶ディスプレー向けに好調だ。またタッチパネル向け製造装置も好調に推移している。これらに加えて同社では、中古製造装置移設事業を手掛けている。これは日本や台湾で放出された機器を中国に再販するビジネスだが、相手が中国ということもあって、尻込みする企業が多い。同社は中国に強い人材を抱え、この分野で積極的に事業を展開中だ。

 業績は順調に回復基調を歩んでいる。かつてのプロジェクターブームの時の水準まで戻すのは時間がかかるが、4事業の足並みが揃いつつある。2015年10月末時点での受注残は、183億22百万円と高水準になっており2016年3月期の業績が急伸する可能性がある。ただし、これはあくまで一過性のものであり、また、様々なビジネスリスクも内包している点に注意が必要だ。ただし、日本、台湾での設備縮小が進む一方中国は活発に設備投資を継続しており、同社がこうした大型案件で実績を積み重ねて中古機ビジネスの安定性を増すことができれば、中長期の成長エンジンになってくると弊社では期待している。

Check Point

●ランプ事業、製造装置、検査装置、人材派遣を展開
●ROEには改善余地、利益率向上の有無に注目
●2016年3月期は大型案件の収益計上で増配の可能性も

会社概要

再建後はプロジェクター用超高圧水銀灯が活路に

(1)沿革

 同社の歴史は1976年の旧フェニックス電機の設立から始まる。フェニックス電機はウシオ電機<6925>からスピンアウトした技術者により、一般照明及び自動車用ハロゲンランプ、の製造販売を目的に設立された。当時の照明の主流は蛍光灯で、ハロゲンランプ製造技術を有する企業が多くなく、順調に業容を拡大した。

 しかし、1980年代後半から1990年代前半は、プラザ合意後の円高、中国からの安価品の流入、欧州市場からの反ダンピング課税(→その後、それを避けるために現地生産化)などが重なり急速に業況が悪化し、1995年に会社更生法を申請するに至った。その際、ナムコ(現バンダイナムコホールディングス<7832>)の創業者である中村雅哉(なかむらまさや)氏が再建支援者となり、斉藤定一(さいとうさだいち)氏がナムコから同社代表取締役(現任)に着任し、再建がスタートした。

 その後同社は、ニッチ市場であったプロジェクター用超高圧水銀灯に活路を見出し、再生の道のりを順調に歩んだ。その間ランプ製品のラインアップは、照明用、プロジェクター用、露光装置用光源、LEDランプ等に拡大した。