本記事は1月13日付フィスコ企業調査レポート(コニシ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 寺島 昇
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利益は前倒し達成、次の中期計画を策定中
コニシ<4956>は、「ボンド」ブランドで知られる国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカーである。一般家庭用が有名であるが、産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い製品を揃えており、主たる市場は住宅・建築・土木関連である。
2015年3月期の第2四半期累計の業績は、売上高54,700百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益2,339百万円(同11.7%減)、経常利益2,287百万円(同17.4%減)、四半期純利益1,309百万円(同17.9%減)となり、すべての項目で期初計画を下回った。主力のボンド事業が消費増税の反動により住宅向けを中心に不振であったことが主な要因だ。
2015年3月通期の業績見通しは、売上高116,000百万円(前年比2.8%増)、営業利益5,110百万円(同21.1%減)、経常利益5,140百万円(同23.3%減)、当期純利益2,980百万円(同20.3%減)が予想されている。上半期の結果を受けて、期初予想からは下方修正されたが、かなり厳しい見方をしていることから、これ以上の下振れはなさそうだ。
中期経営計画(4ヶ年計画)の数値目標は2015年3月期に売上高130,000百万円、経常利益6,500百万円であったが、経常利益は既に2014年3月期に前倒しで達成された。しかし2015年3月期が減益予想であることから最終年度未達となりそうだが、次の中期経営計画を策定中である。目標利益がどの水準に設定されるか注目されるところで、同時に企業体質の変革も注視したい。
Check Point
●「ボンド」ブランドの豊富なラインアップと強力な販売網
●設備投資やM&Aに取り組み、企業本質の変革へ
●安定配当を志向、次の中計で増配の可能性も
会社概要
ボンド販売後は住宅・建築業界向けで成長、連結子会社はM&Aで18社に
(1)会社沿革
小西儀助(こにしぎすけ)氏が1870年に大阪で薬の卸問屋「小西屋」を創業したのが同社の始まりである。その後、1880年頃に洋酒、缶詰類の輸入販売を開始し、1888年には大阪洋酒醸造会社を設立、ブランデーやワインなど、洋酒の製造販売を開始した。1912年には輸入アルコール、工業用薬品、洋酒、食料品などの卸売事業に専念し、製造業に関しては消毒液などに用いられた業務用アルコールのみ継続、その後1940年頃まで「アルコールの小西」として、国内のエチルアルコール需要の約40%を供給する有数の化学商社として成長していった。この化学商社としての歴史が現在の化成品部門の基礎となっている。
戦後に入り、1952年に現在の主力製品である合成接着剤「ボンド」の製造販売を開始した。製本の工程で用いられる接着剤として採用されたのが始まりであった。その後、「ボンド」が木工用として建築業界向けに採用され始めたが、この家具・住宅・建築市場への進出によって、同社はさらに成長が加速した。現在でも、この住宅・建築関連業界向け接着剤の製造販売が同社の主力事業となっている。
グループ展開としては1999年に無機系化学商品を扱う丸安産業(株)をM&Aにより子会社化したほか、2001年には土木・建築業界向けに工事請負事業を展開するボンドエンジニアリング(株)を設立した。また2003年には各種シーリング材の製造販売を手掛けるサンライズ・エム・エス・アイ(株)(以下サンライズMSI)を、2013年には工事請負事業を行う近畿鉄筋コンクリート(株)を、2014年には住宅関連接着剤メーカーの矢沢化学工業(株)をM&Aによって子会社化した。海外展開では2004年に中国に製造販売拠点を設けて以降、タイ、インド、インドネシア、ベトナムなどに進出している。2014年3月末時点では連結子会社18社(うち海外7社)となっており、連結従業員数は1,121名となっている。1994年に大阪証券取引所市場第2部に、1997年に東京証券取引所及び大阪証券取引所の市場第1部にそれぞれ株式上場した。