本記事は1月13日付フィスコ企業調査レポート(イグニス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
柴田 郁夫
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全巻無料型ハイブリッドアプリの伸長を想定、今期も引き続き高い伸び率を見込む

 イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を手掛け、広告収入を収益源とする無料ネイティブアプリの提供を中核事業にしている。また、30分無料で漫画コンテンツを楽しむことができる全巻無料型ハイブリッドアプリやソーシャルゲームも展開し、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。特に、日常的に利用するツール系アプリなどを無料にもかかわらず高品質で提供することで、ダウンロード数やMAU(Monthly Active User)の拡大を図ってきたことにより同社の成長をけん引してきた。国内屈指の約800万MAUを誇る事業基盤や市場開拓力、高い収益性などを強みに更なる事業拡大を目指す方針である。

ある月に1回以上、アプリの利用があったユーザー数(アプリ間の重複も含む)

 上場後最初の決算となる2014年9月期の業績は、売上高が前期比134.1%増の2,047百万円、営業利益が同82.1%増の561百万円と大幅な増収増益となった。主力の無料ネイティブアプリでラインナップの拡充を図ったことに加えて、全巻無料型ハイブリッドアプリやソーシャルゲームによる業績貢献が増収に寄与した。

 同社は2015年9月期の業績予想について、売上高が前期比61.9%増の3,314百万円、営業利益が同78.1%増と、引き続き高い伸び率を見込んでいる。3つの事業がそれぞれ拡大する計画であるが、特に出版会社との交渉が完了した全巻無料型ハイブリッドアプリが大きく伸長する想定となっている。

 同社はこれまでのステージをノウハウの蓄積のための期間と位置付けており、本格的な成長はこれからだと考えている。これまで積み上げてきた事業基盤やノウハウを活かし、海外展開を含め、各事業の拡大を図る方針である。特にゲームとコミュニケーション領域を今後の注力分野としている。

Check Point

●ヒットアプリを生み続ける「小さく産んで大きく育てる」開発方針
●上場後最初の決算は大幅な増収増益で着地
●ゲーム領域とコミュニケーション領域が今後の注力分野

事業概要

無料ネイティブアプリが安定収益源として収益基盤を支える

 同社は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・制作・運営・売却を手掛けており、広告収入を収益源とする無料ネイティブアプリを中核とする。「次のあたりまえを創る、何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する様々なアプリを高品質で提供し、ダウンロード数やMAUの拡大を図ってきたことが同社の成長をけん引してきた。2014年11月末現在のダウンロード数は累計7,000万DL(ダウンロード)を超え、MAUも約800万を誇っている。

 ネイティブアプリは、App StoreやGoogle Play 等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に「無料ネイティブアプリ」「全巻無料型ハイブリッドアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の3つの事業に分類している。2014年9月期において無料ネイティブアプリが売上高の約70%を占めるとともに、安定収益源として同社の収益基盤を支えている。