本記事は1月8日付フィスコ企業調査レポート(ミロク情報サービス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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持続的な成長と新たな収益基盤の確立で過去最高業績の更新へ

 ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務)システムを開発・販売する業界大手。

 2015年3月期第2四半期累計(2014年4月-9月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.1%増の11,263百万円、経常利益が同13.4%増の1,339百万円となり、4期連続で過去最高益を更新した。中堅・中小企業向け製品・サービスが、既存顧客の買い替え需要に加え、新規顧客開拓に注力した効果により、前年同期比2ケタ増収と業績をけん引した。また、新製品投入までの端境期となっている会計事務所向けも前年同期並みの水準と底堅く推移した。

 2015年3月期通期の連結業績は売上高が前期比2.3%増の22,590百万円、経常利益が同4.9%増の2,540百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は、売上高が49.9%、経常利益が52.7%といずれも直近3年間の平均進捗率(売上高48.5%、経常利益47.5%)を上回っており、足元の受注も堅調に推移していることから、上振れの公算は大きいと弊社ではみている。

 2015年3月期からスタートした第3次中期経営計画(3ヶ年)では、最終年度となる2017年3月期に売上高26,000百万円、経常利益4,000百万円を経営目標値として掲げている。販売力強化による既存事業の持続的な成長に加えて、新規事業による収益基盤の確立、並びに新たな顧客を創造する新製品・サービスの開発・提供を進めることで、目標を達成していく方針だ。

 新規事業では、新たに設立した子会社(株)MJS M&Aパートナーズで、2015年より中小企業の事業承継・事業再生支援サービスを開始する。また、会員数約130万人を誇るビジネス情報サイト「bizocean」を中心としたネットビジネスでのさらなる収益化に注力する。一方、韓国のIT企業であるWebcash社と10月に資本業務提携を締結し、合弁会社を設立。Webcash社の金融管理・資産管理サービスを日本の中堅・中小企業向けに仕様変更して提供していくほか、新サービスの共同開発も進めていく。これら3つの新規事業で、2017年3月期に売上高2,500百万円、経常利益率30%を目標として掲げており、今後の展開が注目される。

Check Point

●半期ベースで4期連続増収増益、過去最高業績を更新
●17/3期に売上高260億円、経常利益40億円を目指す
●同業平均を下回るPER・PBRと高い水準の配当利回り

会社概要

会計事務所・中小企業向け財務・会計システムの老舗的ポジション

(1)会社沿革

 同社は、1977年の創業以来、計算センターでの計算処理サービスから、オフコンビジネス、そしてパッケージソフトの開発・販売、加えて経営情報サービスにも注力し、事業モデルを時代の変化に応じて転換しながら、財務・会計を中心とする経営システム・経営情報サービスを提供してきた。財務・会計システムを開発・販売する企業としては、日本市場における老舗的なポジションにある。現在、新たな技術の潮流となっている「クラウド・コンピューティング」「マルチデバイス」に対応したサービスの開発を強化している。