日本語でいうところの「身を切るような寒さ」を、オランダ人たちはWaterkoud(ウォーターカウド:水の中にいるような寒さ)と呼ぶ。

 1月から2月にかけての今の季節、日中でもマイナスの日が続くこともあり、さらに北海から吹きつけてくる強風に煽られると、水の中にいる寒さどころか、氷の中に閉じ込められているような体感である。

 毎年冬になると、人びとの会話はその話題で持ちきりになる。極寒の冬を厭わず、天然の氷の上でスケートすることを心待ちにする冬派と、寒い季節が到来するたび、冬眠したいと嘆くアンチ冬派との間では、ネットの天気予報サイト上で、熱い討論が繰り広げられることもあるほどだ。

 オランダの冬は、どうやら他の季節と比較しても、特別な意味を持つ期間のように思われる。

アムステルダムの凍った運河でスケートを楽しむ人々(写真提供:Droomplekken.nl)

暖房といえばセントラルヒーティング

 冬派にとっても、アンチ冬派にとっても、この季節に欠かせないのは暖房だ。都市部の一般家庭(一戸建ておよびメゾネット、アパートやマンション)で、もっとも多く使用されている暖房器具は、ラジエーターを用いたセントラルヒーティングである。

 これは、地下や納戸などに設置されたボイラー内の水をガスで沸かし、各部屋に取り付けられたラジエーター内に流し込み、ラジエーターそのものを温めて熱を発散させ、各部屋全体の空気を暖かくする形式のものである。

 室温を上げるためには、居間の壁や入り口に設置された温度調節ダイアルを回して適温にセットする。すると、数分のうちにボイラーが作動して、沸いた湯が各部屋のラジエーターに流れ込み、部屋が徐々に温かくなるというわけだ。