「じゃあ、4月にまた会おうね!」
筆者の通っているスポーツジムで友人を介して知り合ったブリギッテさんが別れを告げ、旅立ったのは昨年末のこと。
ブリギッテさん(65歳)夫妻は、ここ数年、ドイツでクリスマスを祝った後、タイのプーケットに3カ月滞在している。冬の間、彼らは温暖な気候と新鮮で安価な魚料理を満喫、年金生活を謳歌中だ。
ドイツの冬は、寒くて日も短くて灰色の空が続くため、家にこもりがちで行動範囲も狭くなる。それなら、「温暖で過ごしやすく、外出も気軽にできる地で冬を越そう」と、ドイツを離れる高齢者が年々増加している。
そんなニーズを受けて、旅行会社は毎年売り上げが落ち込む10月、11月から、時間にも金銭的にも余裕のある高齢者(65歳以上)を狙えとばかりに、様々な海外長期滞在プランを打ち出している。
生活費は1日2400円! 自宅で過ごすより安価で快適なホテル暮らし
国内大手の旅行会社TUI、トーマスクックなどが近隣国のホテルとタイアップした高齢者対象の海外長期滞在の宿泊プランは、4週間、6週間、8週間を中心にしたもの。
12週間以上滞在すると、冬の間(11月上旬から3月末まで)一律料金で滞在できるというお得なプランも人気が高いそうだ。
長期滞在プランは、旅行会社により様々だが、「55歳プラス」「60歳以上のあなたへ」などと銘打って、標準価格に比べ25%から30%の割引で多彩なプランと滞在先を提案している。
ドイツの高齢者の避寒地として人気を集めているのは、スペインのカナリヤ諸島やマヨルカ島、ポルトガル、トルコ、タイなど。比較的短時間で行ける場所が中心だ。集客のポイントは、青い空、太陽、砂浜、充実した医療と多彩なレジャータイムという。
滞在地別に、「4つ星ホテル、往復航空運賃、4週間滞在」で検索してみると、1人当たりの費用は以下の通りだ。
トルコ777ユーロ(約11万3000円)、スペイン・テネリファ島979ユーロ(14万2000円)、グラン・カナリア島1083ユーロ(15万7000円)、マヨルカ島795ユーロ(11万5000円)、ポルトガル793ユーロといった具合だ(1月中旬の提供価格)。