ウォール・ストリート・ジャーナル日本版(1月21日付け)は、1月20日、オバマ米大統領の一般教書演説について報じている。

 それによると、オバマ大統領は経済面に関して所得不平等の拡大に対する国民の懸念を認め、「一握りの人だけが非常に裕福な経済を受け入れるのか。それとも、所得が増え、努力する人全員にチャンスがある経済を目指すのか*1」と問いかけた。そして、政府として機会を拡大して中間層の成長を助けるべきだと主張した。

 世界は1930年代の保護主義体制の反動で、世界平和のためには自由な貿易体制を維持していくことが重要との認識に至り、近年、輸送・通信技術の進歩や貿易障壁撤廃を原動力として米国主導の国際通商システムが構築されている。

 そして、今、グローバル化の中、世界各地で経済格差が拡大している。ちょうどオバマ米大統領の一般教書演説の前日に国際支援団体オックスファムが、世界人口の1%の富裕層が持つ資産総額は来年までに残る99%の人口の資産を合わせた額と同程度になるという推計を発表した。

拡大する経済格差を巡る米国での意見対立

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 米国では、オバマ大統領の一般教書演説に象徴されるように、拡大した経済格差を是正するには市場に任せておけば良いという1980年代にレーガノミクスから始まった「新自由経済主義」(小さな政府)では格差是正は難しい、との認識が広まってきている。

 ところが、一方で富裕層は、自分は努力しているのに貧困層は気楽だと感じている。CNNの記事によれば、調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査で、米国の富裕層の54%が貧困層に対して「貧困層は何もせずに政府の手当てをもらって気楽に暮らしている」といった認識を持っていることが分かった。

 これに対し、「貧困層は政府の手当てでは満足な暮らしができず、厳しい生活を送っている」との見方を示したのは富裕層の36%にとどまっている。やはり富裕層と貧困層・政治の意見は必ずしも一致しない。

 しかし、そもそも個人の生い立ちからして不平等(「子供の貧困」の問題等)なのであるから、やはり所得の再配分にかかる政府のコミットメントは一定程度、必要だ。

*1 原文は次のとおり。Will we accept an economy where only a few of us do spectacularly well? Or will we commit ourselves to an economy that generates rising incomes and chances for everyone who makes the effort?