本記事はLongine(ロンジン)発行の2015年1月22日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 泉田 良輔
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Longine編集部より
今回は、企業調査で長年の経験があり日本の株式市場に詳しい、日興アセットマネジメント株式会社 株式運用部 企業調査グループ グループディレクター 中野次朗氏へのインタビューです。2014年10月末の日本銀行による追加金融緩和や消費税増税見送りの中、2015年度の日本の株式市場やセクター見通しについてお話しいただきました。また、最近よく話題に出るようになったROEやコーポレートガバナンスについても議論しました。企業と株式市場の関係を理解したい方にはぜひとも読んでいただきたいインタビューです。
投資家に伝えたい3つのポイント
●日本企業の業績において、2015年度も2014年度に続き経常利益ベースで2ケタ成長となれば、3年連続2ケタ成長となり、グローバルの資本市場で注目されるでしょう。
●日本企業によるM&Aで成功しているケースに多いのは、被買収企業のブランドをうまく活用しているのと、もうひとつは成功している企業をそのまま買収しているということでしょうか。
●日本版スチュワードシップ・コードには7つの原則があるのですが、運用会社が実務上より多く直面するのが原則4の中にある「目的を持った対話」(エンゲージメント)です。
GDP2期連続マイナス成長と好調な企業業績
Longine 編集委員長 泉田良輔(以下、泉田):2014年10月末に日本銀行による追加金融緩和や消費税増税を延期するなどの日本の政策上重要な決定がありました。こうしたことを踏まえて、現在の日本の株式市場をどのようにみているのでしょうか。
日興アセットマネジメント 中野次朗(以下、中野): GDPが2四半期連続マイナス成長し、消費税増税も延期されました。しかし、一方では企業業績は好調です。こうした事実をどのように理解すればよいかという点について、株式市場では議論が起こり得ると考えています。
泉田:では、企業業績はどの程度好調だと理解すればよいのでしょうか。
中野:2014年度上期では、当社が集計中の数字を前提ということになりますが、経常利益ベースに関しては前年同期比で2ケタ成長、つまり10%程度の成長をしています。
泉田:ただ、その成長は為替レートの円安の効果も大きいのではないでしょうか。
中野:確かに、円安の効果はあると思います。しかし、為替換算だけでは評価してはいけないとみています。