本記事は2014年12月26日付フィスコ企業調査レポート(ホットリンク)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
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買収でソーシャル・ビッグデータ分野での成長加速が視野
ホットリンク<3680>はブログやTwitterなどソーシャルメディアの投稿データを活用するクラウドサービスで成長。2015年1月に米国のソーシャルメディアデータ提供会社Effyis.inc(サービスブランド名は、Socialgist。以下Socialgist)を22百万ドルで買収し、ソーシャルメディアのデータプラットフォーム事業会社として、グローバル市場も含めた成長の加速化が視野に入ってきた。
2014年12月期の連結業績は、売上高が前期比8.1%増の1,019百万円、営業利益が同7.0%減の147百万円と増収減益になる見通し。「クチコミ@係長」などクラウドサービス事業の売上高が伸び悩むなかで、人員増強による人件費の増加が減益要因となる。中堅企業向けのサービス継続率が低いことが要因であり、こうした課題に対して同社では年末から来年初めにかけて、「クチコミ@係長」「e-mining」を中堅企業のニーズに対応したリニューアル版を投入していくほか、スマートデバイスにも対応するなど、利便性の向上を図ることで、継続率の向上を図り、売上高の2ケタ成長を目指していく方針。
2015年1月にSocialgistを子会社化することで、2015年12月期の業績は大幅増収増益が見込まれる。Socialgistの2014年度の業績は円換算で売上高1,100百万円、営業利益100百万円程度が見込まれ、2015年12月期の連結業績には少なくとも当事業年度以上の営業利益が加算されることになる。ソーシャル・ビッグデータを活用する企業はマーケティング領域だけでなく、金融や政治、メディアなど様々な業界に広がってきており、高度な分析ノウハウや開発力を強みとする同社の成長余力は大きいとみられる。
海外では経済成長が見込まれる東南アジア市場でM&Aを進めていく方針で、Socialgistとのシナジー効果も含めて今後の展開が期待される。当面の経営目標値としては2015年12月期までに売上高2,418百万円、営業利益544百万円の達成を目指していく。国内での新サービス投入効果による顧客数の拡大、並びにSocialgistの子会社化によって目標達成の余地は十分あると考えられ、ソーシャル・ビッグデータ市場の成長とともに、収益は今後拡大局面に入ることが予想される。
Check Point
●先進的な技術開発型企業、ソーシャルメディアの分析サービスを展開
●ビッグデータの市場で利益を上げている稀有な企業
●来期もしくは再来期に売上高2,418百万円、営業利益544百万円が目標
会社概要
先進的な技術開発型企業、ソーシャルメディアの分析サービスを展開
(1)会社沿革
2000年6月に現代表取締役社長の内山幸樹(うちやまこうき)氏が、「知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が”HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」というミッションを掲げて(株)ホットリンクを創業した。内山氏は大学院在学中の1995年に日本で最初期の検索エンジンとなる「日本サーチエンジン」の開発プロジェクトに参加するなど、インターネット市場の黎明期から、その技術開発に携わってきた経歴を持つ。