本記事は12月12日付フィスコ企業調査レポート(ソフトバンク・テクノロジー)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 柄澤 邦光
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事業構造改革が着実に進展、稼ぐ力は着実に向上
ソフトバンク・テクノロジー<4726>は10月26日、2015年3月期の第2四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比で2ケタの増収となったものの、営業利益はほぼ横ばいとなり、当期純利益も微増にとどまった。同社の予想に比べると、売上高は上振れで第2四半期として過去最高となったものの、営業利益、経常利益、四半期純利益は下振れした。
ただ、利益の下振れは、買収企業の減価償却費やのれん代が想定以上にかかったことが大きな要因である。想定の範囲内であったならば、営業利益はほぼ計画どおりの着地となったと考えられる。また、これらの影響を除いたEBITDAで利益を計算すると、同社の利益率、つまり“稼ぐ力”は確実に向上している。
売上高の増加と、EBITDAの向上は、事業構造改革が着実に進展していることの裏付けといえる。具体的には、(1)ソフトバンクグループ以外からの受注の拡大、(2)セキュリティとデータ分析(データアナリティクス)分野での独自技術による新サービスの発売、(3)連結ベースでの社員の増加、スキル向上策の進展とスキルの高い社員の確保―といったことが挙げられる。構造改革が着実に進んでいる点を考慮し、同社では通期業績予想を据え置いている点にも注目しておきたい。
また、構造改革は継続する。当面の課題としては、単体人員の効率的配置となろう。人員の増強によって外注が減ったため限界利益は増大しているが、固定費の増加で相殺され、営業利益は改善していない。増加した人員をいかに効率的に動かし、固定費の拡大以上の売上高を上げるかという課題が残っている。同社は、この点を十分に認識しており、近くグループ全体の人員を1,000人の大台に乗せたうえで採用のスピードを抑制、社内の効率化に力を入れる。これが進めば、営業利益率のV字回復も不可能ではない。
Check Point
●6つの事業すべてが増収、利益面でも改革が進展
●グループ外の受注が拡大、独自技術や社員数の増加にも注目
●売上高は順調、人員の効率配置や償却費減でV字回復も
2015年3月期の第2四半期決算
6つの事業すべてが増収、利益面でも改革が進展
(1)概要
2015年3月期の第2四半期の連結決算は、売上高が前期比20.8%増の19,678百万円、営業利益が同0.4%増の572百万円、経常利益が同7.3%減の541百万円、四半期純利益が同1.8%増の330百万円となった。売上高は第2四半期として過去最高を更新した。
ただ、当初計画と比較すると、売上高こそ6.4%の上振れとなったものの、営業利益で11.9%、経常利益で16.7%、四半期純利益で17.4%の下振れという結果だった。以下に売上高と利益の分析を行う。