本記事は12月12日付フィスコ企業調査レポート(キトー)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 寺島 昇
本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。
好調な国内需要などから今期は増益を予想
キトー<6409>は、建設現場や製造業の工場などで簡単に物を持ち上げ、運び、固定するために利用する「巻上機」(チェーンブロック、レバーブロックなどの、マテリアルハンドリング、いわゆるマテハン機器)の国内トップメーカーである。グローバル展開も進んでおり、海外売上高が72%近くに達し、世界市場でもトップ5に入る。
2015年3月期第2四半期(2014年4月-9月)業績は、売上高18,400百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益855百万円(同26.7%減)、経常利益892百万円(同25.6%減)、四半期純利益504百万円(同32.2%減)となった。国内、米国は好調であったが、中国やタイが想定を下回ったこと、米国子会社での未実現利益の消去等により営業利益は前年同期比で減益となった。
進行中の2015年3月期は売上高50,000百万円(前期比19.5%増)、営業利益4,800百万円(同19.8%増)、経常利益4,600百万円(同12.4%増)、当期純利益3,100百万円(同31.3%増)が予想されている。好調な国内需要に加えて上半期に未実現となった米国での利益が実現すること、新規に買収した子会社(米国)の数値が上乗せされることなどから増益を予想している。
同社は、「真のグローバルNo.1のホイストメーカー」になるという目標を掲げ、2016年3月期に売上高58,000百万円、営業利益7,000百万円、営業利益率12.0%(2014年3月期9.6%)を目標とする中期経営計画を発表している。今期の予想売上高50,000百万円を達成できれば、この目標(売上高)は射程圏と言えそうだ。ただし、数値目標の達成も重要ではあるが、それ以上に同社自身がどう変化していくか、その点が最も重要であり、今後の動向に注目したい。
Check Point
●チェーンブロックの国内シェアは60%超、海外展開も進む
●アジアは不振だが、主力の国内・米州が好調
●「真のグローバルNo.1のホイストメーカー」を目指し、中期経営計画を推進中
会社概要
チェーンブロックの国内シェアは60%超、海外展開も進む
(1)沿革
同社は1932年、東京大森に鬼頭美代志(きとうみよし)氏(現代表取締役社長である鬼頭芳雄(きとうよしお)氏の祖父)によって設立された。創業当時から主力製品はレバーブロックやチェーンブロックなどの巻上機であったが、その後も一貫して専業メーカーとしての道を歩み続けている。現在ではチェーンブロックで国内シェア60%超のトップメーカーとなったが、海外展開も進んでおり海外子会社19社、海外代理店を50ヶ国に有している。海外売上高は2015年3月期の第2四半期(4月-9月期)で71.8%となり、名実ともにグローバル企業になりつつある。