先週の米国株式市場
―過度な悲観後退で大きく上昇―


<先週の概況>

先週の米国市場は大きく上昇しました。エボラ出血熱や世界経済の鈍化に対する過度な懸念が後退し、企業の堅調な業績や良好な経済指標を好感しました。

欧州や中国で発表されたPMI(購買担当者景気指数)がともに改善し、成長鈍化懸念が後退しました。また、米国の住宅関連指標や消費者センチメントが良好だったことも市場の悲観ムードを後退させる結果となりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用銘柄の30銘柄中26銘柄が上昇しました。3M(MMM)は増収増益の決算を発表し大きく上昇しました。キャタピラー(CAT)は市場予想を上回る決算を発表し、通期見通しを引き上げたことから買われました。

<下落>

IBM(IBM)は想定外の減収減益の決算で、特別損失を計上することを発表したことで大きく売られました。コカ・コーラ(KO)も冴えない決算から売られました。

先週発表された主な経済指標

中古住宅販売件数 9月 517万件 市場予想 510万件 前月 505万件
新築住宅販売件数 9月 46.7万件 市場予想 47.0万件 前月 50.4万件

21日に発表された9月の中古住宅販売件数は年率換算517万件と市場予想を上回って前月から増加しました。24日に発表された新築住宅販売件数は市場予想をわずかに下回ったものの前月からの増加は達成しました。

両指標とも住宅市場が堅調に推移していることを裏付ける結果となりました。住宅販売は家電などの購入に結びつくことから、個人消費へのポジティブな影響が期待できます。


今後発表される主な経済指標

28日・29日 FOMC(連邦公開市場委員会)

28日と29日にFOMCが開催されます。量的金融緩和第3弾(QE3)の終了を決定する公算が高いと思われますが、一部の地区連銀総裁からは足元の混乱などを考慮して、終了を延期するべきだとの声も上がっており、対応が注目されます。

また、これまでFRBが市場へのメッセージとして維持してきた低金利を維持する「相当な期間」という文言について、何らかの変更が加えられる可能性がありそうです。FOMCの発表内容がハト派・タカ派どちらに寄った印象となるかでマーケットが大きく反応する可能性があり、大きな注目を集めています。


マーケットビュー
―堅調な企業業績続くもFOMCの発表には注意―

先週のマーケットビューでは、堅調な企業業績と経済動向を背景として下がった場面では買い向かえる局面ではないかと書きましたが、エボラ出血熱や世界経済の停滞に対する市場の懸念も一段落した格好となり、米国市場は大幅に反発しました。

トムソン・ロイター社の集計によれば、S&P500採用企業の前年同期比増益率は7.6%となる見込みで、前週時点より上方修正されました。引き続き、堅調な経済と企業業績という望ましい状況は続いており、株価の上昇が期待できる局面ではないかと考えています。ただ、エボラ出血熱の問題は予断を許さないことに加え、今週はFOMCの発表内容次第では大きな変動となる可能性があり、その点には注意が必要です。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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