イスラム国への参加を考えていた26歳の北海道大学生(休学中)が、警視庁公安部に私戦予備・陰謀罪容疑で任意の事情聴取を受けた事件が、大きく報じられた。
当初、このニュースは「日本からイスラム国に、イスラム過激思想の若者を兵士として送り込むルートがあった!」という衝撃的なイメージで報じられたが、当人である北大生の動機が、就活に失敗して将来への展望を見失い、違う世界に行けば何かが変わるかもしれないと期待してのことだったこと、さらに仲介者とされた元大学教授のイスラム法学者もべつに自ら募集していたわけではなく、単に相談を受けて助言・斡旋していた程度だったことが明らかになり、事件の構図としては、国際テロ事件というような大仰な話でもないことが徐々に判明してきた。
この北大生とともに千葉県在住の23歳のコンビニ・アルバイト店員も一時、イスラム国参加を希望していたが、彼の動機も似たようなレベルであり、いわゆるイスラム過激思想とは無縁の話だった。
それでも、「日本人に戦争に参加したいと考えた若者がいた」ということに驚く声があるが、実はこれまでも、戦争への参加を希望し、戦場に向かった日本人は何人もいる。その動機はそれぞれだが、いつの時代でも若者の中には、いわゆる「自分探し」や探究心、冒険心、政治的信念、あるいはある種の義侠心などから、海外で義勇兵として戦いたいと行動した人はいた。
例えば、シリアではすでに昨年、イスラム国ではない有力な反政府軍の1つである「ムハンマド軍」という部隊に、元自衛官で自営業の鵜沢佳史氏(現在26歳)が参加し、前線で戦っている。彼も「戦いたい」との強い思いで戦場に飛び込んだが、現地では独裁政権に抵抗する反政府軍に強いシンパシーを持っていたとのことである。
また、他にも一般には知られていない日本人がイスラム国や他の民兵組織に参加している可能性はある。