朝日新聞の慰安婦問題に関する訂正はついに米国側の関係者たちに直接届くに至った。朝日側の記事の訂正や取り消しのインパクトが、慰安婦問題で日本を糾弾してきた米国側の当事者や関係者にも及んだことが確認されたのである。

 2007年7月の連邦議会下院で、慰安婦問題に関して日本糾弾決議を推した米側の活動家たちがいる。彼らがこの9月25日、「同決議の作成は吉田清治証言にも朝日新聞報道にもまったく影響されなかった」という苦しい弁明を発表したのだ。

 慰安婦問題で日本側を批判してきた米国の特定勢力も、ついに日本での朝日新聞の誤報訂正の重大さを認めるに至った、ということだろう。これまで表面的には無視する態度ばかりだったのだから、これは大きな変化である。日本にとっては好ましい変化だと言えよう。

 その上、この弁明は、同決議推進勢力が最大の標的としてきた「日本軍による組織的な女性の強制連行」への非難を後退させ、焦点を日本軍の慰安所への「関与」や「運営」にシフトさせるものであった。言ってみれば議論のすり替えである。

 米側関係者は明らかにうろたえている。今後、日本側が国辱を晴らすための対外発信を重ねていけば、必ずや効果を上げることになるだろう。

毎日新聞の検証記事を受けて苦しい弁明

 9月25日、ワシントンのアジア関連のニュース・評論サイト「ネルソン・リポート」に、朝日新聞の誤報訂正に関する長文の声明が載った。下院の慰安婦決議案の作成に関わったアジア関連活動家のミンディ・カトラー氏やジョージワシントン大学教授のマイク・モチズキ氏など4人の連名による声明だった。