9月6日、フランクフルト空港で、ケニアから帰国したドイツ人3人を、国境警察が待ってましたとばかりに捕まえた。この3人は23歳から28歳の男性で、ソマリアでアル・シャバブのメンバーとして反政府テロに参加しており、ちょうどケニア経由で戻ってきたところだったという。

ドイツのイスラム移民に急増する過激派

 アル・シャバブというのは、ソマリアで一番強いイスラム勢力で、イスラム法シャリアを厳守するイスラム国家の建設を目指しているのは、アルカイーダや、シリアとイラクのIS(イスラム国)や、少女を200人以上も拉致したままになっているナイジェリアのボコ・ハラムなどと同根だ。

大学襲撃で13人死亡、ボコ・ハラムか ナイジェリア

17日、ボコ・ハラムによる襲撃事件が起きたナイジェリア北部カノの連邦教育大学で、損傷を受けた講義ホールを見る学生 ©AFP/AMINU ABUBAKAR〔AFPBB News

 その中で、3人は自発的に戦闘に参加していた。このたびの帰国の理由は詳しい聴取を待たなければ分からないが、ドイツでのテロを画策しているわけではなく、おそらく戦闘の修羅場に疲れ、夢破れ、戻ってきた可能性が高いようだと報道されている。

 その5日前の9月1日に、米軍によってアル・シャバブの指導者が殺されたことと3人の帰国は無関係ではないとも言われる。多くのテロを実行し、米国のウォンテッドのリストの最上位にいた指導者が米軍の空爆でやられ、アル・シャバブは現在、混乱しており、3人はその混乱に乗じて組織を離れたのではないかという。

 名前から見ると、1人はアブドゥルサラム、もう1人はアブドゥラーなので、この2人はアラブ系移民であることは確実だ(苗字は伏せられている)。もう1人はStevenだが、これも移民である可能性は高い。ドイツ人の「シュテファン」なら、スペルはvではなく、fかphを使うことの方が多い。

 2012年の1年間でドイツに帰化した外国人の数は11万2348人だった。すでに帰化した人と、ドイツで生まれ、自動的にドイツ国籍を得た人などを含めると、外国系ドイツ人の数は836万人に上り、総人口の1割を軽く超えている。そして、その半数近くがイスラム系だと推定される。

 その一部には、ドイツに溶け込まず、それどころか敵意を持っている人もいる。イスラム過激派の一派はサラフィストと呼ばれ、ここ数年、毎年1000人というすごい勢いで増え続けており、すでに6600人ほどいるらしい。

 彼らが集中して住むようになったドイツの一部の都市は、いまや、イスラムの牙城のようになってしまっている(それについては後述)。そのサラフィストとISのメンバーは、かなり正確に重なっているという。