アメリカの歴史観・価値観にどっぷり浸かった共産党

 私は相当前から、日本の政党の中で最も“親米的”な政党は、実は日本共産党ではないかと思ってきた。

 もちろん同党が日米安保条約廃棄を掲げ、普天間基地の名護への移転に反対していることは、重々承知している。私が同党に属していた時代にも、アメリカのベトナム戦争やイラク戦争を侵略戦争だとして厳しく批判してきた。

 “親米的”というのは、そういう意味ではない。ポツダム宣言や極東国際軍事裁判所(東京裁判)判決を絶対的なものとして評価してきたからである。

 事実、1946年2月の第5回党大会では、占領軍を「民主主義革命の解放軍としての役割をすすめてきた」と高い評価を加えている。この評価は、現在でも「一定の根拠があった」としている。

 第2次世界大戦全体の構図についても、「第2次世界大戦は、ソ連も参加した反ファッショ連合と日独伊侵略ブロックとの戦争となり、反ファシズム解放戦争としての性格をもった」(『日本共産党の60年』日本共産党中央委員会出版局)としてきた。

 ちなみに、同大会では、アメリカが沖縄を本土と切り離して米軍直轄の特別地域としたことに対して、「これを『沖縄民族』の独立の一歩としてとらえ、『沖縄民族の独立を祝うメッセージ』を採択」(『日本共産党の80年』同前)している。その後、これは正されたがアメリカ占領軍をいかに評価していたかの証左である。そしてソ連を反ファシズム勢力と見なしていたのである。

 この評価は、基本的にポツダム宣言や東京裁判と同じである。ポツダム宣言では、「無責任なる軍国主義」だとか、「世界征服の挙」として日本軍が厳しく非難されている。東京裁判の「平和に対する罪」も満州事変から太平洋戦争に至るまでの日本の戦争を「侵略戦争」と断罪するものであった。

 東京裁判に関して言えば、国際法に反するとか、不遡及の原則に反するとか、勝者による復讐など多方面からの批判もされている。インドのパール判事のように、無罪を主張した判事もいた。だがこれらの批判は一顧だにしないのが日本共産党の立場である。