国内市場が成熟している日本において、中小企業も海外に活路を見出そうと、大手企業と同様にグローバル人材へのニーズは高まっています。

 ディスコが2014年2月に行った「採用活動に関する企業調査(PDF)」(有効回答社数: 1006社、主に中堅・中小企業)によると、日本人留学生の採用を予定している企業にその目的を尋ねたところ、最も多いのは「優秀な人材を確保するため」の80.4%でした。

 次いで「海外経験で培った感性・国際感覚等を発揮してもらうため」(57.5%)、「社員への影響も含めた社内活性化のため」(39.1%)と続きます。

海外組に求められるのは企業の牽引役

 さらに日本人留学生に求める資質については、最上位が「バイタリティー」(51.4%)で、国内学生では圧倒的に最上位である「コミュニケーション能力」よりも上位に選択されています。チャレンジ精神や行動力を持って企業活動を国内外でドライブする役目が大いに期待されていることが分かります。

 そして、積極的に採用したい学生の留学経験地域では、最多は「北米」の31.8%で、「英国」「中国」が同率24.0%と続きます。次いで4位以降はシンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムとなり、能動的な学習プログラムが充実している米英以外に、ビジネス展開を視野に入れた上で新興国に通じた人材へのニーズが高いことが分かります。

 また、私がプロジェクトディレクターで関わっているJAOS海外留学協議会が2014年3月にまとめた「海外体験を有する若者の採用・活用に関する調査報告」では、主に中小企業1069社からの回答から、海外体験者へのニーズを探っています。

 例えば、面接時に重視する事項として、海外展開を検討している企業では、既に展開している企業やドメスティック企業に比べて、「起業家精神・アントレプレナーシップ」(49.5%)や「独創性・オリジナリティ」(75.8%)、「人脈・ネットワーク」(60.5%)などが重要視されており、中小企業ではこれまであまり注目されていなかった能力・資質が求められてきていることが分かります(カッコ内の%は「重要」と回答した企業の割合)。

漠然とした海外体験は評価されない

 また、上記の調査において海外体験を有する若者がどのような印象・イメージであるのかを聞いたところ(自由記載)、全体としては肯定なイメージが多くを占め、最多は「視野が広い・グローバルな視野をもっている」「主体的・積極的・意欲的である」、 続いて「チャレンジ精神・フロンティア精神・ハングリー精神がある」でした。

 他には、「精神的・肉体的にタフ・バイタリティがある」「行動力がある・活動的である」「語学力がある」「発想力がある・(柔軟な・新しい・独自の)発想ができる」「コミュニケーション力が高い」「異文化体験・経験が豊富である」などの印象も多くありました。