内外景気の先行き不透明感、為替の円高ドル安進行、日米中央銀行による超低金利政策の長期化観測、国内銀行の潤沢な運用資金などを背景に、8月4日の債券相場は堅調に推移。10年物国債利回りはついに1%を下回り、0.995%をつけた。これは2003年8月14日以来、約7年ぶりの低水準である。この2003年8月14日というのは、グローバルなデフレ懸念が市場のテーマになって、同年6月10日に債券先物が145.09円の史上最高値、翌11日に10年物国債利回りが0.430%の史上最低水準を記録したあと、長期金利が徐々に上昇していった途中の時期にあたる。
筆者は6月下旬、5年債利回りが急低下した時点で、2003年8月中旬との経済・市場環境の比較表を作成して考察を加えた。10年債利回りが大きな節目である1%ラインを割り込んだこの機会にあらためて、7年前と現在の環境比較を行っておきたい。
03年8月14日 | 10年8月4日 | |
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国債利回り (出合いレンジ) |
5年債:0.370~0.390% 10年債:0.980~1.055% 20年債:1.570~1.655% 30年債:1.715~1.785% |
5年債:0.335~0.345% 10年債:0.995~1.010% 20年債:1.645~1.655% 30年債:1.660~1.670% |
債券先物中心限月 (出合いレンジ) |
140.65~141.30円 (同日夜間取引では140.37~140.75円) |
142.11~142.33円 (同日夜間取引では142.22~142.27円) |
ユーロ円TIBOR | 3カ月物:0.08917% 1年物:0.10750% |
3カ月物:0.37308% 1年物:0.55231% |
円金利先物中心限月 (出合いレンジ) |
99.845~99.855 | 99.705~99.715 |
無担保コール翌日物 金利誘導水準 |
量的緩和局面(当座預金残高目標は27~30兆円程度)。翌日物金利はゼロ%に近い超低水準 | 0.1%前後 |
株価 | 日経平均:9913.47円 TOPIX:965.94 |
日経平均:9489.34円 TOPIX:845.93 |
ドル/円相場 (東京17:00) |
ドル/円:119.33円 | ドル/円:85.53円 |
CPI直近値 | コア:前年同月比▲0.4% 欧米型コア:n.a. (6月分) |
コア:前年同月比▲1.0% 欧米型コア:〃▲1.5% (6月分) |
鉱工業生産 直近値 | 前月比▲1.2% (6月分確報) |
前月比▲1.5% (6月分速報) |
銀行計貸出平残 直近値 |
前年同月比▲4.8% (7月分) |
前年同月比▲2.1% (6月分) |
米国債2年物・10年物利回り(前日) | 米2年物:1.86% 米10年物:4.55% |
米2年物:0.54% 米10年物:2.91% |
米FFレート翌日物 誘導水準 |
1.0% | 0~0.25% |
注: 図表の中にある経済指標の数値については、その当時に入手できた直近の数字を表示しており、その後の数値改定は反映していない。
出所: 総務省、経済産業省、日銀、全銀協、日本相互証券、東証、金融取、日経新聞、米FRB資料より
みずほ証券金融市場調査部作成