中国広西省の九江市を訪ねるチャンスがあった。中国は都市を1級から6級に分けている。1級都市は北京や上海、南京など18の主要都市、2級都市は省都である石家庄や太原など省都を含むあまり経済が繁栄していない25の大都市である。3級、4級と級が下るにつれて規模が小さくなり、また経済面での重要性も減じる。

 今回訪ねた九江は5級都市である。長江に面しているために船を利用した物流が可能であり、また名勝地「廬山」を抱えることから、5級の中では有力とされるが、それでも地方都市であることに変わりがない。

 その九江市のあちこちで大型のマンションが建設中であった。人口は472万人(2010年センサス)であるが、中心部に限れば70万人に過ぎない。その小さな市がマンションの建設ラッシュに沸いている。中国の不動産に対する過剰投資は北京や上海だけではなく、地方の小都市にまで及んでいる。

九江で建設が進むマンション群(筆者撮影、以下同)

地方政府が潤う不動産開発モデル

 中国は「社会主義市場経済」と奇妙な名前の付いた経済体制を採用している。その意味するところは、官僚が強力な影響力を行使する市場経済である。それは官僚が経済に対して大きな影響力を持っている日本と同じような側面を有する。