本記事は7月14日付フィスコ企業調査レポート(マネーパートナーズグループ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 寺島 昇
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独自サービスと収益性改善による業績拡大に期待
マネーパートナーズグループ<8732>の主力業務はFX(外国為替証拠金)取引で、収益の源泉はスプレッドからの差益である。多くの投資家が売買を行い、取引高が増えると収益が増加する構造だ。業界での取引高シェアは4%前後で、専業では5位グループにランクされる。
2014年3月期の営業収益は5,257百万円(前期比10.7%減)だったが、大口取引終了によるシステム関連の固定費減少などコスト削減が進んだことから、販管費も同25.1%減となった。その結果、営業利益は1,098百万円(同239.3%増)、経常利益は1,115百万円(同257.3%増)、当期純利益は663百万円(同593.4%増)と大幅増益を達成した。
FX取引は「ハイリスク」と思われがちだが、利用の仕方によっては株式や金投資に劣らない投資商品である。市場全体の口座数や取引高は年々増加傾向にあり、現在の規模の4倍程度まで成長の可能性があると弊社ではみている。
そのような中で同社は東証1部上場企業として独自のサービス(例えば空港での外貨両替・受取り、業界最安水準のスプレッド等)を提供し、シェアアップを狙っている。今回、新たにマスターカードとの提携でマルチ通貨のプリペイドカード発行サービスの開始を発表した。加えて、収益性の改善、コストダウンも進んでおり、少ない取引高でも利益が出る体質になってきている。同社の2014年5月次、6月次の月次概況にもあったように、足元の外国為替相場のボラティリティは「歴史的とも言える低い水準」であるが、ひとたび相場が動き始めると取引高の増加によって、利益は今まで以上に大きく伸びる可能性が高い。今後の月次数値は要注目だ。
Check Point
●2014年3月期は取引高増加やコスト減で大幅増益を達成
●低水準の営業収益でも利益を出せる体質に変化へ
●顧客基盤の拡大と収益性改善で一段の成長を目指す
会社概要
FX専業では初の1部上場企業
(1)沿革
同社は2005年6月に、一般投資家向けにインターネット等を通じて外国為替証拠金取引サービスを提供することを目的として設立された。その後順調に事業を拡大、2007年には株式を大阪証券取引所「ヘラクレス」(当時)に上場した。2008年には傘下にマネーパートナーズとマネーパートナーズソリューションズを有する持株会社へ移行。2013年5月に東証1部上場を果たし、FX専業会社として初の東証1部上場企業となった。