本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年4月15日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 泉田 良輔
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投資家に伝えたい3つのポイント

●バフェットの投資の基準を改めて整理します。バークシャーが企業買収するときの基準(バークシャー基準)が参考になります。
●ここではバークシャー基準を発展させて、以下の様な条件でスクリーニングしてみました。
●スクリーニング結果を見る限り、投資の天才の基準は日本でも生きていたということです。

バークシャー・ハサウェイのアニュアルレポート2013を改めて読み解く

結論から言うと、世界で最もスマートといわれる投資家ウォーレン・バフェットは日本株を買う可能性は少ないと思います。なぜならば、彼はバークシャー・ハサウェイ(以下、バークシャー)のアニュアルレポートで何度もコメントしている通り、上場企業への投資や企業買収をする前提は、成長する国家「アメリカ合衆国」に投資をすることが重要だといっています。「これまでアメリカにたてついて恩恵を受けたやつはいるのか?」とまで言っています。そのバフェットが経済成長できるか怪しい日本に基盤を持つ企業に投資をするのかは疑問です。当然、イギリスのテスコ、フランスのサノフィなど米国以外の上場企業もポートフォリオに含まれますが、ほとんどは米国の上場企業です。

では、バフェットの投資のアプローチは日本株で機能するかを考えてみたいと思います。その前に、バフェットの投資の基準を改めて整理します。以下にあげるのは、バークシャーが企業買収するときの基準(以下、バークシャー基準とよぶ)です。しかし、上場企業への投資の参考になると思いますので、見ていきましょう。

・規模の大きい企業。少なくとも税引前利益で75億円(1ドル=100円換算)あり、そうでなければバークシャーの既存事業にうまく適合する企業
・継続的に利益を計上してきた実績のある企業(実績を伴わない将来の事業計画には興味がないし、事業再生途上の会社にも興味がない)
・従業員が少ないか借入がゼロで、ROEが高い企業
・(有能な)経営者が既にいる企業(バークシャーは経営者まではあてがえない)
・シンプルな事業(テクノロジーの話をたくさんされてもバークシャーは理解できない)
・(適切な)お値段(バークシャーは、値段についてごちゃごちゃと交渉して自分たちや売り手の時間を無駄にしたくない。それはまだディールの序盤で値付けが行われていない案件についても同様)

ということで、ここから私たちが学べるのは次のようなものではないでしょうか。

・利益規模がある程度ある企業
・最終利益を継続的に計上してきた企業。減益はあっても赤字ではない企業
・健全なバランスシートを有する企業。できれば借入はない企業
・経営者のトラックレコードがある企業。頻繁に経営者が変わっていない企業
・ROEが高い企業