今年4月、韓国を震撼させた「世越(セウォル)号沈没」から早くも2カ月が経とうとしている。セウォル号沈没事故後も地下鉄事故、バスターミナル事故など、多くの負傷者を出している様々な事故が続くなか、韓国では「安全の仕組み」の見直しが始まっている。
清海鎮海運の筆頭株主に向けられた国民の怒り
だが、それはすぐにどうにかなるものではないらしい。その後も人災と思われる事故や事件が後を絶たないからだ。
さて、沈没船に関しては朴槿恵(パク・クネ)大統領が国民に対して謝罪したものの、それでもまだ怒りを収めることができない国民たちにとって、現在はセウォル号を運行する清海鎮海運の筆頭株主であるオーナー一家に怒りの矛先が向けられている。
セウォル号が沈没してからすぐに清海鎮海運のキム・ハンシク代表が謝罪会見をしたが、実は彼よりもっと会社の株を持っているオーナー一家がいたことが明らかになったのだ。
兪炳彦(ユ・ビョンオン)氏は、清海鎮海運の筆頭株主であると同時に、1990年代からセモという会社の名で漢江の遊覧船などを経営していた。現在、兪氏はセモを廃業し、清海鎮海運社などから捻出される資金を利用し、フランスのベルサイユ宮殿で写真の個展を開くなど、フォトグラファーとして悠々自適に暮らしていた。
しかし、兪前会長を調べれば調べるほど不正の疑いが強まってきた。そのため実質的なオーナー一家に関してはかなり早い段階で出国禁止令が出ており、逮捕状も出ていた。
また、彼ら一家と関連のある政治・経済・宗教界・芸能界の人たちもマスコミを賑わした。兪氏と関係があると名指しされた人たちは懸命に関連性を否定した。
特に、宗教団体である基督教福音浸礼会との関連が取り沙汰されている。これに対し、韓国基督教福音浸礼会は、兪氏一家と関連のある「基督教福音浸礼会」と自分たちとは全く関連性のないものだと否定した。
つまり、兪氏が所属している会は俗称を「救援派」と言って、正統なキリスト教会からは全く認められていない教会であるということらしい。