米国で「アイフォーン(iPhone)」向け通信サービスを独占提供するAT&Tの四半期ベースの契約者純増数が49万6000人になった。また顧客が新たに利用を開始したアイフォーンの数は320万台となり、過去最高を記録した。
ベライゾン、契約者数で首位を維持
こうした中、同業で米携帯キャリア最大手のベライゾン・ワイヤレスの同期間における純増数が、そのAT&Tを上回る66万5000人になっており、これを欧米のメディアがニュースに取り上げている。
アイフォーン人気でベライゾンの純増数は伸び悩むと思われていたが、そうした懸念を払拭したようだと報じている。
これら数字はいずれもこの4~6月期におけるポストペイド(料金後払い式)携帯電話契約の純増数。ポストペイド契約は、長期契約や比較的高額の料金設定が可能になるため、通信事業者の重要な収益源になっている。
ベライゾンの純増数はこの4~6月期に前年同期から5%増加した。これにより同社の携帯電話全契約者数は9210万人となり、AT&T(9010万人)を上回って首位を維持した。
ベライゾンのジョン・キリアン最高財務責任者(CFO)によると、新規顧客獲得に貢献したのは、米グーグルが開発を主導する「アンドロイドOS(Android OS)」を搭載する端末。
ベライゾンは同四半期に、台湾HTC製の「ドロイド・インクレディブル(Droid Incredible)」を市場投入し、米モトローラ製の「ドロイドX」というアンドロイド端末も発表した。こうした製品が消費者に訴求し、顧客獲得につながったとキリアンCFOは話している。
利用料金や高付加価値サービスでAT&Tを下回る
しかし両社の数字を詳しく比較してみると、ベライゾンは安閑としてはいられない状況である。
例えばAT&Tの場合、スマートフォンなどの高付加価値サービス顧客の全顧客に占める割合は53%になっている。これに対し、ベライゾンのそれは35%だ。
また、AT&Tの平均月額利用料金は前年同期から3.4%増えて62.63ドルになった。これに対しベライゾンは同0.9%増の51.56ドルにとどまっている。