先月、千葉工業大学(千葉県習志野市)と神田外語大学(千葉市美浜区)が国際社会に通用する人材の育成を目的として包括連携協定を締結した。

 今、日本でその必要性が叫ばれている「グローバル人材育成」という潮流の中の一つのニュースだが、それは、日本人が考えるグローバル人材像、すなわち「高度な技術・スキル」×「高い英語コミュニケーション能力」を即座に連想させた。

身近に出会う本物の「グローバル人材」、その共通点

 シンガポールの隣街、ジョホールバルで生活し、シンガポール・ASEAN中心に仕事をしていると、日頃から身近に「グローバル人材」と思えるような人間に出会う。皆、腕一本(高い技術やスキル)で経済的に自立し、国籍に関係なく仕事をしている。

 友人のハンガリー人技術者(46歳)は、マレーシアにある世界最大のパーム油製造会社にて業務請負契約により3年間、同社マネジャーとしてプロジェクトを任されている。彼の技術やスキルが認められ、たまたまマレーシア企業と契約して業務に従事しているもので、ハンガリー人であることは全く関係ない。

 かつての日本人ビジネスパートナー(50歳)は、約23年前にベトナムで起業し、その後シンガポールに移住し、起業して永住権を取得。以降、多国籍チームを従えて、クロスボーダーM&A等のアドバイザリー業務を行っている。

 日本にいる起業家にもグローバルに挑戦している素晴らしい方々がいる。例えば、シリコンバレーでの起業経験を経て、2010年に電動バイクメーカー「テラモーターズ」を設立し、世界を相手に挑戦を続けている徳重徹氏(46歳)。最初から「世界」が相手だ。

 私自身、国際協力の仕事に携わっていると、国際競争入札の案件に応募して自らの専門性により生計を立てているコンサルタントに出会う。

 例えば、2年前、バングラデシュの中央銀行(Bangladesh Bank)で中小企業金融振興プロジェクトのコンサルタント公募があり、それに応募すべく共同チームを結成したオランダ人の金融専門家(63歳)がいた。特定の国に留まらず、世界中、多言語を駆使して自らに最適な案件を求めて渡り歩いている。

 国際競争入札と言えば、安藤忠雄氏など日本人建築家で世界的に活躍する人は多いが、彼らは世界中のプロジェクトの国際競争入札に応募している。企画と経験の勝負で、舞台は競争の厳しい「世界」だ。

 日頃の経験から「この人は本物のグローバル人材だ」と感じる時、その共通項は何だろうか。まとめると次の3つの要素があるように思う。

1. 世界レベルで戦える高いコア技術・専門性・スキル

2. 国際的素養(人間力、多言語コミュニケーション能力、教養、母国に関する
深い洞察と説明力、ディベート力、ネットワーキング力、人間的魅力など)

3. 世界の舞台で挑戦し続ける覚悟