経営力がまぶしい日本の市町村50選(25)
長野県原村は県東南部に位置し、集落は八ヶ岳連峰の西麓、標高900mから1300mにある。総人口は7464人(2014年1月1日現在)と、小さな村である。しかしながらこの村は、1976年以降人口増加を続け、今でも年平均50人ほど増加している全国から注目されている村でもある。
年平均50人が増加する、日本一元気な村
増加の要因は、自然豊かな高原を売りにした中央高原別荘団地やペンション区画の分譲、東京に近い自然に恵まれた村としてのPR、将来を見据えた福祉施策の充実など様々である。
さらには、コンパクトなエリアに1保育園、1小学校区、1中学校区という体制が、自然環境や景観を求める外部からの移住者にとって、子育てに向いた環境として魅力的に映っていることも一因と思われる。
また、2010年度の国勢調査で65歳以上の高齢者の就業率を見ると、全国平均が21%であるのに対して、長野県は全国第1位の30%で、さらに原村は55%と圧倒的な高さを誇る。農業を主産業にする地域性と、芸術家やクラフトマンが移り住んで活動していることが寄与していることは間違いない。
さらには福祉行政が充実しており、1981年度から全国に先駆けて、65歳以上の医療費を無料化し、その他各種検診を無料にすることで、早期発見・早期治療を進めるなど予防医療にも力を入れ、1人あたりの医療費は31万円と県下でも低水準にある。
働くことで健康を維持し、健康ゆえに働き続けるという好循環が生まれている原村が、「日本一元気な村」をアピールしているゆえんである。
ちなみに医療費の無料化は2006年度からは中学3年生までに対して、さらには2012年度からは高校3年生までに対してその対象を広げている。
そして、忘れてはならないのは、生涯学習の充実であろう。原村では、むらづくり講座(行政出前講座)と呼ばれる取り組みが行われ、地域集会や団体の会議、学校の授業などに村の職員が講師として出向き、村の事業や施策などについて話をすることで継続的な学習活動と行政への参加を促している。
そのテーマは、村の財政状況にはじまり、地域福祉、各種診断、農業振興、商工業振興、観光事業、リサイクル事業、教育行政、社会教育、防災知識、地域づくり、総合計画などなど、その数100以上に上る。