北米報知 2014年4月3日15号

 3月下旬のシアトルセンター内にあるメモリアルスタジアムで女子サッカーのシアトル・レインFCがシーズン前のキャンプを行っている。フィールドに広がる選手たちの中に今シーズンにレンタル移籍した日本代表の川澄奈穂美選手も姿を見せる。初めての海外リーグだが、自身への期待を胸に練習に臨んでいる。

シアトル・レインFCの14年シーズンを迎える川澄奈穂美選手(写真=佐々木 志峰)

 3月22日にシアトル入り。チームに合流してまだ間もないが、練習では持ち前のスピードに乗ったドリブルで鋭く抜けるシーンも見られる。

 昨シーズンに所属先のINAC神戸で一緒にプレーしたベヴァリー・ゴーベル選手らと笑顔で話す姿からは、シーズン前の調整ぶりがうかがえる。

 「まったく分からないことをしにくることではないので」と川澄選手は話す。「ただちょっと質の違うサッカーを(する)。もちろん言葉が分からなかったりしますが、やりたいことや基本的なことは一緒じゃないですか」

 グラウンドにロッカールーム、またプロチームとしての環境。「和気あいあいとしていてグラウンドの中でも笑いがあってリラックスしている。オンとオフの切り替えがしっかりしている。自分は好きです」とチームについて語る。

 豊富な経験も支えとなる。2008年以来、日本ではリーグ戦で112試合出場、53ゴールを挙げた。最優秀選手は2011年、2013年シーズンの2度受賞。昨年は主将としてクラブ世界一を含めチーム四冠に貢献した。

 日本代表としても50試合に出場。11年のFIFAワールドカップ優勝、2012年のロンドン五輪銀メダルのメンバーでもある。

 初となる海外リーグにも「自分としては何回も行っている海外遠征の一環」と不安はない。「もちろん住むのと遠征は違いますが、だいたい想像の(範囲)で起こることだと思うので、そんなに驚くことはないです」

 5カ月で24試合。遠征先はボストン、カンサスシティー、ヒューストンなど、時差もあり距離を含め日本と比較にならないが、「基本的にタフな人間だと思っているので、そんなに神経質にならずにできるんじゃないかなと思っています」と語る。