日本政府は先月28日、首相官邸での国家戦略特区諮問会議において東京・神奈川・千葉県成田市の「東京圏」など、計6カ所を特区に指定する方針を決めた。

政府は、地域を限定して規制を緩和する国家戦略特区として、「東京圏」「関西圏」など全国で6カ所を選定する方針を決定

 安倍首相は同会議で「岩盤規制を突破するためのドリルを実際に動かせる体制が整った」とし、「大胆な規制改革の提案があれば、新たな地域の指定に備える」と語った。

 都道府県や都市圏で規制緩和を進める「広域特区」に指定された東京圏や関西圏に関しては、「世界から人材、資本、技術が集まる国際ビジネスやイノベーションの拠点として都市再生、医療、雇用、教育などの分野で総合的な規制改革を実現していく」とも説明した。

 規制緩和が進まない日本に外国企業を呼び込むための決定打としては、もはや「特区」しかないのかもしれない。

日本観光ブームの一方で、盛り上がらない対日投資

 日本政府観光局の発表によれば、2013年、訪日外国人旅行者数が初めて1000万人を突破した。

 中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)向け観光ビザの発給要件の緩和、入国管理手続きの改善、格安航空会社(LCC)の就航拡大・増便等の「VISIT JAPAN」事業が功を奏したのに加え、アベノミクス効果による急速な円安が追い風となったものだ。

 観光ビザの発給要件の緩和は、昨年6月、第2回観光立国推進閣僚会議で決定した「アクション・プログラム」に基づくものであり、日・ASEAN友好協力40周年を契機として、タイ、マレーシア向けのビザは免除された。ベトナム、フィリピン向けのビザは数次ビザ化され、インドネシア向け数次ビザの滞在期間は延長された。

 ところが、最近の日本観光ブームの一方、日本に外国企業を誘致しようという「INVEST JAPAN」は、その機運がなかなか高まらない。

 経済産業省も INVEST JAPAN を推進すべく各種施策を打ち出しているのだが、現実にはASEANで生活・仕事をしていても、地元テレビ・メディア等を通じて日本の外国企業誘致のメッセージは伝わってこない。

 ASEAN諸国の企業経営者・ビジネスマンが日本ビジネスや特区構想に関心を持てるようなチャンスは少なく、せっかく日本貿易振興機構(JETRO)が窓口サービスプラットフォーム「Invest Japan Business Support Center」を運営して受け皿を整備しても、そこに辿り着く人は少ない。

 東京都には「TOKYO BUSINESS ENTRY POINT」があるが、残念ながらそれを活用して成功したという事例は聞いたことがない。少なくともASEAN域内で活躍するグローバル企業の経営者や地元経営者層には浸透していない。

 同様に、東京への外国企業誘致のための「アジアヘッドクォーター特区(Tokyo’s Special Zone for Asian Headquarters)」についてもASEANにおける認知度はまだ低いようだ。