米アマゾン・ドットコムが音楽のストリーミング配信サービスを始める計画だと複数の米メディアが報じている。同社がこうしたサービスを検討しているという報道は以前にもあった。だがビルボード誌によると、今回同社は大手レコード会社と協議を進めており、楽曲の使用料も提示している。

購入CDのMP3版を無償提供、米アマゾン「AutoRip」開始

タブレット上に映し出されたアマゾンのロゴ〔AFPBB News

 その金額とは年間3000万ドル。ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンの提案ではこのうち500万ドルを独立系レーベルが受け取り、2500万ドルを米ユニバーサルミュージック・グループ、米ソニー・ミュージックエンタテインメント、米ワーナーミュージック・グループの大手3社で分配するという。

 インターネットラジオなどの音楽ストリーミングサービスは利用者の聴取頻度をベースに楽曲使用料を支払っており、アマゾンが提案する一括方式はまれだという。またアマゾンの提示額ではレコード会社が受け取る金額が大幅に減るため、交渉は合意に至るかどうか分からないという。

 ただし、アマゾンは音楽CDやダウンロード販売の大手。業界で大きな力を持っているほか、レコード会社にとって重要な販路。今後の交渉次第では料金が折り合う可能性もあると伝えられている。

ストリーミングサービスをダウンロード販売につなげる

 音楽ストリーミング配信には、月額10ドルほどの料金で聴き放題になる「サブスクリプションサービス」、広告付きの「無料サービス」、その2つを組み合わせた「フリーミアムサービス」がある。

 これらには「パンドラ(Pandora)」「スポッティファイ(Spotify)」「アールディーオー(Rdio)」、グーグルの「オールアクセス(All Access)」、アップルの「アイチューンズラジオ(iTunes Radio)」などがあるが、いずれもここ数年で利用者数が伸びている

 一方でアマゾンが検討しているサービスの形態はこれらのいずれでもないと言われている。それは楽曲の再生に制限を加えるという方式。この制限については様々に報じられており、詳細は分からないが、ウォールストリート・ジャーナルは、楽曲を途中までしか再生しないサービスだと伝えている。