大企業では、ITを使ってビジネスをより加速するために、システム(IT)部門の社員を各ユーザー部門、つまり業務の現場に配置するところが増えてきた。例えば営業のスタッフ部門にシステム部門から人が派遣され、期間限定で常駐するような形態だ。

 システム活用の最適な方法が分からない営業部門と、業務が分からないために最適解を提示できないシステム部門が相互補完する解決策だ。

 またシステム部門は、往々にして現場に押し切られてなかなかシステムの全体最適化が実現に至らない。その壁を打破したいという狙いもある。

 さらに、ITが分かり業務も分かる人材を育成し、システム部門の強化を図ることも視野に入れている。いわば一石三鳥くらいの施策である。

 だが、この組織形態は定着しつつあるように見えて、多くの会社で“微妙”な状態にあるようだ。

専門家が育つのはいいことか?

 確かに、業務の現場にシステム部門の人が常駐し、その部門のシステムの保守や改修をしているのをよく見かける。しかし双方の狙いとしてそれが本当にやりたいことだったのか。